<目次>
・バックウォーター再訪(このページ)
・バックウォーターの朝
・チャイニーズ・フィッシュング・ネットと夕日
・コーチンからジョードプルヘ

・ブルーシティ探訪
・砂丘が見たければサム砂丘より鳥取砂丘へ行け?
・インドではマックもカレー味
・旅の終わりはマンゴー・パンケーキ


 バックウォーター再訪


5年ぶりのインドである。
旅先としてインドを選択した理由。第一はバックウォーターである。
バックウォーターとはインド南部ケララ州のコーチン(コチ)の近くに広がる大水郷地帯。現在は美しい水郷地帯が一大観光地となっている。

5年前にもバックウォーターを訪れたが、ずっと「もう一度」と思っていた。
5年前は、時間がなく、数時間手漕ぎのボートでバックウォーターのほんの一部を見ただけだったので、もう少し広範囲を、もうすくしたっぷりと思っていたのである。

加えてハウスボートである。穀物運搬船を改装して作られたボートで(今では最初から観光船として作られているものが多いのだと思う)、その名の通り、居間というべきかバックウォーターを満喫できるくつろぎのスペースがあり、トイレ・シャワー付きの寝室があり、さらにキッチンもあって、同乗のコックが食事まで作ってくれる。暑く湿気もあるケララなので、エアコン付きのボートも多い。きわめて贅沢なクルーズなのである。

5年前は1泊2日3食付のクルーズが日本円で3万とも言われていたが、今回、調べてみると1万5000円くらい、もしくはもっと安く利用できそうなことがわかったので、ハウスボートでの観光も大きな目的となった。

バックウォーター以外は、インド南部を回って帰ってくるつもりだった。しかし、計画段階で浮上してきたのが、インド北西部ラジャスタン州のジョードプル。岩山に巨大な砦があり、街の家々は水色のペイントが施されており、ブルー・シティと呼ばれている。写真を見て、行くしかないと思った。

ということで、インド南部と北西部というかなり無理のある旅行計画を作成した。


まず、香港へ、さらにムンバイに飛んだ。ムンバイ到着は深夜0時半ころ。空港で夜を明かして、今度は早朝5時半すぎの便でコーチンへ飛んだ。使った航空会社はジェットエアウェイズ、ウエブ航空券の予約・購入・Eチケットのプリントアウトができる。早目に購入すると安いチケットも購入できるので、旅程の決まっている旅行者は使わない手はない。

ムンバイの国際線ターミナルと国内線ターミナルは4キロも離れており、何がしかの交通機関を利用して移動しなくてはならない。国際線のターミナルで少し時間をつぶしてからと考えていたが、税関を抜けると、すぐ出口。一刻も早く空港から去ってくれという作りになっている。では、出発ターミナルに入ってと思っても、出発ターミナルに入るには、航空券の提示が必要。とにかくすぐに移動しなければならないのだ。

しかたがないのでプリペイドタクシーで移動。プリペイドタクシーとは文字通り料金前払いのタクシーで、チケットカウンターがあって、そこで行き先を告げてチケットを買う。チケットにはタクシーのナンバーが書かれており、乗り場でそのナンバーの車を探して、運転手にチケットを渡して出発。慣れない旅行者には車をさがしてくれる係員のような人間がいるが、これはチップ目当て(正式な業務なのかどうかよくわからない。そういう仕事がありそうだが)。僕もついついチケットを見せてしまったが、両替直後で細かいルピーの持ち合わせがなく、チップは出さず。

国内線ターミナルに着くと、タクシーの運ちゃんがチップを要求してきたが、細かい金がないのでこれも断る。

国内線ターミナルに着いたのが1時15分ころ。幸い、ロビーには椅子がたくさんあって、そこでうとうととする。

2時、早くも搭乗手続きが始まっていたので、早々に手続きを済ませ、搭乗待合室で休む。

飛行機はほぼ定刻通り飛んで、7時半ころコーチン到着。プリペイドタクシーでバススタンドへ移動。運転手はチップを要求してこなかった。まだまだ、個人の外国人観光客に接する機会は多くはないのかもしれない(団体客は専用のバスで移動してしまうので)。

8時半ころバススタンド到着。ここからバックウォーター観光の拠点のひとつ、アレッピーに移動。バスは頻発しており、8時45分に出発できた。

バススタンドを出て時は空席も目立ったバスだったが、途中のバス停でどんどん乗客が増えて、立ち客もいっぱいとなった。隣に座ったインド人の青年と少し話しをした。発展途上国では、日本の経済について聞かれることが多いのだが、やはりそういう話になった。そのなかで、日本の物価の高さを説明したのだが、コーチンからアレッピーまで(距離は64キロくらい)の運賃が39ルピー(約80円)、同じような距離を日本でバスに乗ると1000円(500ルピー)以上はかかるとちょっと控えめな数字を言うと目を丸くしていた。「もちろんバスはこのバスよりいいバスだけど。。。」「快適なんですね。AC(エアコン)もついているんでしょう?」 そうか、「AC(エアコン)」ときたか。インドらしい。暑い国インドではあるけれど、エアコンの普及率は低く、エアコンのあるなしは快適さをはかる基準になっており、乗り物もエアコンがあるかないかで料金は段違いなのである。巨大な人口を抱えるインドでエアコンが普及すると電力の供給はどうするのだろう。人間の知恵と技術で何とかするのだろうとは思うが。。。



コーチンのあたりを走るバス(中距離用?)。もちろんACなし。窓は全開というか窓ガラス自体がない。一応、雨よけ・日よけ用の布(だったろうか?)が降ろせるようになっている。


10時半少し前、アレッピー到着。さあ、ハウスボート探しである。街を歩くと随分の客引きに声をかけられる。5年前より確実に増えている。皆ハウスボートの客引きである。ハウスボートを扱っている旅行社も目立つ。民営の会社のハウスボートは高そうな感じがするので、5年前にも世話になった地域観光振興協議会(DTPC)に行ってみた。

聞くと、ハウスボートは1泊2日3食付で、ACなしが5000ルピー(約1万円)、AC付きだと6000ルピー(約1万2000円)だという。十分予算の範囲内だ。空きがあるかどうか確かめてもらって、即出発を決定。手持ちのルピーがあまりないので両替が必要だというと「すぐ向かいにあるよ」と、事務所から出て指差してくれたが、閉まっている。「そういえば今日は休日だった」。休日かどうかも把握していないようだが、インドらしくてよいではないかと納得してしまう。それから、バスの混雑は休日の影響だったのだろうと思った(実はそうでもないということが次の日にわかるのだが)。

さて、どこで両替するかだが、そこは観光地化が進んだアレッピー。休日も営業している両替屋はあって無事、ボート代を払うことができた。

しばらくするとボートの船長のようなおじさん(後からわかった)がやってきて、オートリクシャーでボートを留めてあるところまで移動。ボートは想像した以上に大きく、何か大金持ちになった気分。船に乗り込み、おじさんが食材の買出しから戻るまでしばし出発を待つ。

船のクルーは船長(?)のおじさんと、運転を専門にする人、それからコック。一人の客にクルー3人。贅沢だ。

13時すぎ、ボートはゆっくりと河畔を離れて水路へと出て行った。いよいよバックウォーター・クルーズの始まりだ。





ハウスボートだらけ。5年前はこんなに多くはなかったと思う。



あまりたくさんのハウスボートが見えない方が絵になるのはいうまでもない。


出発とほぼ同時に昼食の準備にかかったようで、13時半、昼食タイムとなり、適当なところにボートを接岸。



ランチ。一人では食べきれない分量。船長が辛いのは大丈夫かと聞いてくれ、「苦手」と答えたので、どれもマイルドな辛さ(もともとケララの味付けは辛くはないようだが)。食材は野菜中心で、野菜ではないものは魚を油で揚げたものだけ(左の下から2番目)。



このようにかなり広いところもある。



路線ボート。



路線ボートの停留所。









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