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ちょっとパリ
さて2006年夏の旅である。行き先はモロッコ。4度目である。なぜ4たびモロッコなのか。それはおいおい述べることにして、まずパリである。
日本からモロッコへの直行便はないので、通常ヨーロッパのどこかで乗り継ぐことになる(過去3回のモロッコ渡航のうち1回はスペインから船で渡ったのだが)。乗り継ぎポイントはどこでもいいわけだが、やはり旧宗主国であるフランスのパリでの乗り継ぎが便数も多く便利である。というわけで、パリ経由でのモロッコ行きとなった。
航空会社は日本航空(JAL)。安さを追求するならば他の選択肢だろうが、僕にはその選択肢はない。なぜならJALはわがコンサドーレ札幌のオフィシャルパートナー(つまりスポンサー様)だから。ぼくらサポーターはスポンサー様には何か忠誠心のようなものをもっていて、なかなか裏切ることができない体質になってしまっているのだ(笑-普通の人には理解しがたいことだろうが)。というようなことを客室乗務員に話したら、どんな反応が帰ってくるだろうかと思ったりしている(実際に話したことはないし、この先も話すことはないと思うが)。
成田からモロッコのカサブランカまでは、パリで同日に乗り継いで行くことも可能だったが、パリで一泊することにした。カサブランカ到着時刻が遅くなることも理由だが、ちょっとだけパリの空気を吸って行きたいという気持ちもあった。そして、定食が3~4種類だけしかない、こじんまりした食堂で「あたり」の食事をしたかった。
初めてモロッコへ行った91年にもパリに寄った。そのときは日本からヨーロッパ乗り継ぎのモロッコまでの格安航空券は設定がなく(なかったと思う)、パリでモロッコ行きの格安航空券を探したのだ。日本への帰国便はマドリッドからだったので、パリからモロッコ(マラケシュ)までの片道の格安航空券を探して、旅行代理店を片端からあたった。しかし、片道の格安航空券は見つけられず、パリ-マラケシュの往復を買って片道を放棄することにした。
パリには4日くらいいただろうか? そのときのある晩、偶然みつけたごくごく小さな食堂に入った。小さなテーブルが4卓か5卓並んでいるだけで、メニューは黒板に書かれた3種類か4種類くらいの定食のみ。値段はパリのレストランとしては格安(だったと思う)、注文したのは何か鶏肉料理。味は覚えていない。一応ちょっと凝ったメインディッシュだったと思う。日本で生姜焼き定食や焼魚定食ではない、それなりの手の込んだ料理の定食を出す、こんな定食屋はないかなあと思いながら食べたのを思い出す。
それから10年くらい後、パリへ行ったとき、同じような店を探したがなぜか見つけられなかった。おそらく探し方がわるかったのだろう。今回は何とか同じような店で食事をしたかったので、色々と下調べをするつもりだった。しかし、色々と忙しすぎた。出発できるかどうかすら危うい状態で、最終的なゴーサインを出せたのは出発の前日。その数日前には一応、パリでのホテルを予約したが、シャルルドゴール空港から比較的近いという理由だけでノール(北)駅近辺のホテルを選択。
パリ北駅。ただし、空港からの高速郊外鉄道(RER)の電車はここに着くわけではなく、地下駅に着く。 |
パリ北駅の内部。ベルギー、オランダ、ドイツ北部、北欧などへの国際列車も発着している。 |
8月21日。
成田-パリはエコノミーが定員オーバーとかで、ビジネスクラスにアップグレード。できれば夜になる帰りの便でアップグレードしてくれると、よく眠れてうれしいのだが。食事はそれなりの料理だと思うのだが、例によって、どうも酒を飲むための食事、味付けという感じで、酒飲みではない自分にはそんなにうまくはなく、一番うまかったのは、ふりかけをかけたご飯ときつねうどんという悲しさ。
パリは冷たい小雨が降っていた。ノール駅近辺を少し歩いてみたが、探しているタイプの食堂はなかった。探した範囲が狭かったのかもしれないし、そういうタイプの食堂のまったくない地域だったのかもしれない。結局、駅近くの普通のレストランに入ることにした。他の客が食べていたムール貝のワイン蒸し(?)がとても旨そうに見えたので僕も注文。しかし、量が半端でなく小さなバケツに1杯という感じ。あまけに付け合せのフライドポテトの量が尋常ではない。大きめのメークイン5個くらい使ってないか(?)という分量だ(イモの種類は知らないが)。
他人が食べているのは旨く見えるもので、実際食べてみるとそうでもない。パリ寄り道食事作戦は失敗である。さらに、この失敗にはおまけまでついてきた。
12時間あまりの空の旅で疲れていたので、比較的すぐに眠りに落ちたが、深夜、胸が苦しくなってきた。ゲップが出るし、吐き気ももよおしてきた。「あ~、貝に当たってしまった」 最悪の「あたり」だった。
ホテルからの眺め。写真を撮った時は晴れていたが、このあと冷たい雨がふってきた。上着がないと寒いくらいだった。 |
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