マラケシュで清水の舞台から飛び降りる

8月24日。
この日は大西洋岸を南西に下ってエッサウィラまで移動するつもりだった。バスの時刻は調べていない。バスはなくても乗合いのグランタクシーで行けるはずである。

幸い早めに目が覚めたので6時40分ころチェックアウトして、7時にはバスターミナルに到着。取り敢えずバスターミナル近くのグランタクシー乗り場へ行き、エッサウィラへの道中にあるサフィ行きの車はないかと尋ねるが、どうも客がいないらしく、500ディラハム(約7000円)とお話にならない。そこでバスターミナルに戻りエッサウィラ行きのバスについて尋ねるがどうも要領を得ない。困っていると親切なモロッコ人登場。彼のおかげで、エッサウィラ行きのバスは7時に出たことがわかった。どうやらグランタクシーをさがしている間に出たようだ。

この親切なモロッコ人によるとこの後もエッサウィラ行きのバスはあるということだったが、マラケシュ行きの乗合グランタクシーはあるようだったので、まずマラケシュへ移動することにした。

マラケシュ-エッサウィラ間にはバスもグランタクシーも頻発しているし、時間的にもそれほどかからない。旅の最後をマラケシュのジャマ・エル・フナの喧騒の中ですごそうと思っていたが、順番の入換えはそれほど大きな問題ではない。

グランタクシーの客はすぐに集まって(満員にならないと出発しない)、7時30分出発。10時頃、マラケシュのバスターミナル横のグランタクシーステーションに到着。

海風が心地よかったアル・ジャディーダから一転してかなりの暑さである。ただ、まだ午前中のせいか、それほどでもない。



マラケシュの旧市街のすぐ外側にあるグランタクシー乗り場。これは車を降りたところで撮ったもので、僕の背中の方向には広大な敷地に膨大な数のグランタクシーが出発を控えている。


さて、今回でマラケシュ訪問は4回目である。4たび訪れた最大の理由は、ジャマ・エル・フナ(フナ広場)の喧騒が懐かしくなってきたからである。365日(かどうかはしらないが)毎日がお祭り、縁日といった感じの広場なんて、世界中を探してもそんなにあるものではないだろう。

それからこの旅を思い立ったきっかけは、JALの機内誌でとりあげられていたリヤド。リヤドとは中庭を囲み、四方に部屋を配したモロッコの伝統的な建築様式の邸宅で、その邸宅を改造したホテルが紹介されていたのだ。ヨーロッパ人のオーナーが建物に色々と改造を加え、個性的なホテルにしたてたものが近年増加しているということであった。

しかし、邸宅ホテルについては何も調べぬまま日本を出てきてしまった。メディナの中に点在するということだから、下調べなしに見つけることは難しそうだし、もし見つけられても、部屋数が非常の少ないので泊れる可能性も少ないだろう。ということで、グランタクシーステーションを後にした僕は、車を降りたあと買ったバナナをかじりながら、ジャマ・エル・フナの近くに広がる安宿街をめざした。

暑いなか歩くにはけっこうな距離だが、メディナを突っ切っていけばそれほどでもないはずだ。メディナ内には日陰も多いだろう。ということで、メディナに入っていった。少し歩くと、脇道への入り口に「ホテル・レストラン」の案内板が。もしかして、邸宅ホテルではないだろうか。



こんなに整備された路地は高級ホテルへの道でしかありえない。


道を進んでいくと、いかにも高そうなホテルの入り口があった。一瞬躊躇したが、思い切って入り口を通り、レセプションの女性に尋ねた。「今マラケシュについてバスターミナルからフナ広場めざして歩いていたら、偶然このホテルをみつけました。ということでもちろん予約はないんですが、部屋はあいてますか」という内容を、つっかえつっかえの英語で話した。すると意外にも「部屋はあいている」ということだった。「何泊のご予定ですか」「2泊です」「スタンダードルームだと1泊しか空いてませんが、デラックスルームならば2泊OKです」

しかし、問題は料金だった。デラックスルームは1泊2500ディラハム。ということは約3万5000円。スタンダードだと1800ディラハムだというが、1泊しかできない。こういうホテルでは泊ることもそうだが滞在するということも楽しみたいので、やはり2泊したい。

少し考えていると部屋を見るかというので、見せてもらうことにした。デラックスルームにはプライベートテラスもそうそう泊る機会のなさそうな部屋である。ということで思い切って2泊することにした。まあ、たまには無駄遣いもいいだろう(あとで知ったことだが、デラックスルームはカテゴリー的には下の方で、スィート・ルームがたくさんあるようだった)。

まだ、10時半なのにチェックインはオーケー。高級プチホテルにもかかわらず、このへんの融通のよさはモロッコらしいというべきか。ただし、部屋の掃除が終わっていないということで、朝食をとる場所にもなる中庭でお菓子とミントティーをいただく。



中庭。中央にあるのは泉(もちろん人口の)。水は循環式になっている。この邸宅ホテルは割りと規模の大きなもので部屋数は18くらい。





部屋のドア。



ドアを通るとこんな感じ。右側のくぼんだ所はバスルームの入り口。



ベッドからプライベートテラスを望む。しかし、ご覧の通りテラスにはソファもあるのだが、暑さのためそとでのんびりする気にはなれず。結局、まったく使わずじまい。



テラスに出るとこんな花も見られる。


写真の手前はサービスのドライフルーツ。おくのステンドグラス風のガラスはプライベートテラスへの扉。部屋の雰囲気は申し分なし。ホテルの従業員はレセプションの人たちはよく教育されており、かつ非常にフレンドリーでよい感じ。ハウスキーピングの女性たちは、まだ若干訓練不足か。
レストランもあるのだが、2日の滞在期間中2日とも朝食時以外はフナ広場にいたので、どんな味の料理を出すのかはわかりません。
また宿泊客用のプールがホテルから離れた場所にあるのだが、こちらははなから使う気なし。
なかなかよいホテルではあったが、結論からいうと、ちょっと高かったかな、というところである。
最後に珍しくホテル名を記しておくことにします。
La Maison Arabe
www.lamaisonarabe.com


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