アル・ジャディーダ
8月22日。
午前中のエア・フランス便でカサブランカへ。JALへの忠誠心を持っているとはいえ、さすがに飛んでいない路線は乗れないのである。とはいっても、JAL悟空という航空券なのだが。
カサブランカの空港の係官は以前と比べて非常に愛想がよかった。イミグレの係官は、僕のパスポートにある2年前のモロッコのスタンプを見て気をよくしたのか、途端にニコニコしながら対応してくれた。もちろんは入国スタンプは前のスタンプと同じページに押された。
そのあと、税関を通過するわけだが、ここで日本のパスポートを提示すると、「こんにちは」と挨拶された。どうやら日本人観光客の数が急速に増えているようだ。
空港からカサブランカへは鉄道が便利であるといいたいところだが、初めての入国する人にはやや難しい。なぜかというと、空港からカサブランカの中心部に近いカサ・ポール駅に直接行く列車がなく、乗り換えるか、カサ・ヴォワジャー駅で降りて、そこからタクシーやバスなどを利用しなければならないからだ。99年にはカサ・ポール駅まで直接行けたのだが(記憶をだどると)。
カサブランカは勝手知ったる街である。というわけで、僕はカサ・ヴォワジャー駅からバスで中心部へ向かうことにした。見覚えのある町並みに入っていったところでバスを降り、目指すホテルへむかった。
カサブランカはあまり見るべきものがないので、この日は移動のみ。もったいない日程だが、マラケシュとエッサウィラだけ行ければばよいという感じの旅行なのでいいのだ。とはいいつつも、日程的にもう一都市に寄れそうだ。エッサウィラまで一気に移動するという手もあるが、カサブランカから8時間くらいかかるから、エッサウィラへの途中にあるアル・ジャディーダという街で一泊して、そこからエッサウィラへ移動することにした。
カサブランカの中心部にあるCTMのターミナルへ行き、翌日の10時半のバスの乗車券を購入。
ホテルへ戻る道すがら、時計やら電気製品やらを売っている店により、目覚まし時計のボタン型電池を購入。こういう観光客の行かないような店での買い物というのはけっこう思い出深いものになるもので、99年にティトゥアンでフィルムを買うために寄ったDPEの店でも非常によくしてもらった。
店の主人に電池の型式を書いたメモを見せると引き出しの中から出してくれた。ボタン電池が10個くらい連なったシートみたいなものの一番先の部分を鋏で切ってくれるのかなと思っていると、そのシートのようなものの一番上の電池のメーカーやらいろいろと書いてあるところを切ってくれた。どの部分であっても同じ電池だからよいのだが、異邦人に対する心使いというのがうれしいではないか。
しかし、腹具合はまだ本調子ではない。カサブランカへの便での機内食ももてあました感じだったので、夜はシャルルドゴール空港で買ったビスケットをかじることにした。
8月23日。
バスは2階建てで、一番前の客が日差しを避けてるため自分の席を放棄したので、代わりに座らせてもらった。写真はその席からとったカサブランカの街、時計塔の右側がメディナ。 |
10時半にカサブランカを出たバスは、12時50分頃、アル・ジャディーダに到着。
アル・ジャディーダのバスターミナル前。 |
アル・ジャディーダの新市街。 |
ホテルに荷物を置くとすぐに外出。とにかく「メディナへ」である。その前に一応昼食(仙人ではないので一応食べるのである)。腹具合は何とか落ち着いてきていた。
メディナの入口。 |
アル・ジャディーダはガイドブックによるビーチリゾートということになっているが、リゾート的なところは街から離れているようで、新市街は海岸に開けた普通の街という感じ。一方旧市街はポルトガルの要塞になっていたということで(16世紀初めから18世紀半ばすぎまでポルトガルが支配)、堅牢な城壁に囲まれている。
非常にこじんまりとしたメディナで、入り口から5分歩くか歩かないかのうちに、海に面した側の城壁のところに着く。
城壁の海に面した部分。子供~若者たちが海に飛び込んでいた(足から)。子供たちは飛び込むところの写真を撮らせて小遣いをもらおうとするから油断がならない。 |
城壁の上から望んだメディナ。 |
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16世紀にポルトガル人が建設した地下貯水槽。左はその入口。 |
アル・ジャディーダのメディナは入り口からすぐのところにお土産屋が数軒あるだけで、ひっそりとしていた。城壁海に面したところまでいくと、上の写真の通り、海に飛び込む子供や若者で賑わっていたが、観光客は少なかった。
メディナは小さく、道もそれほど入り組んでおらず、あっけなく一回りできてしまった。例によって、ろくにガイドブックも読まずにメディナに入ったので、あぶなく地下貯水槽に寄らずメディナ観光を終えるところだった。メディナを出る前に念のため『地球の歩き方』を開いてみると、地下貯水槽の記述が。そこで入り口から先ほど歩いた道を歩き貯水槽へ。入り口をくぐって入場料を払うと、数名のヨーロッパからの観光客とモロッコ人観光客が貯水槽への扉の前にいて、ガイドとおぼしくおじさんに先導されて中に入るところだった。
先客とともになかに入ると、上の写真のような空間が広がっていた。水は真ん中を中心にうっすらとたまっているだけで、周囲を歩いて一周できる。ガイドはアラビア語とフランス語のみ。おじさんは僕にも一生懸命説明しようとするが、いかんせんフランス語である。わからないというようなリアクションをしても「ここは写真をとるべき場所だ」みたいな感じで、なおも一生懸命説明しようとする。チップをもらうために必死なのだ。
貯水槽には10分ほどもいただろうか。ガイドのおじさんには他の客同様、若干のチップを渡した。一生懸命さは伝わってきたから。
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