アルバラシン <9日目> 2015年、日本旅行業協会は、テロなどの影響で落ち込んだヨーロッパ方面への旅行需要を喚起するために「ヨーロッパの美しい村30選」を選定し、それらの村を旅程に組み込んだ旅行商品を売り出している。その際、エントリーされた村々の一つに、スペインのアラゴン地方のアルバラシンがある。 アルバラシンは、30選には選定されなかったもののネット上ではけっこう人気らしい。ただ、自分はこの村を有名観光地ではあきたらなくなった客層をねらった旅行商品をけっこう売り出している旅行会社の商品カタログで知った。 アルバラシンは標高約1200mの高地に位置し、自然の要塞として古くから街が築かれ、11世紀から12世紀にかけてイスラム教徒が支配、その後、その後、キリスト教徒軍によるレコンキスタの結果、カスティーリャ王国、ついでアラゴン王国が領有した。等々のことはさておき、ネット上などで見られる村の風景はとても魅力的で、何とか訪れたいと思っていた。 アルバラシンへのアクセスはやはり不便で、事前に調べたところ、最寄りの町テルエルからのバスは1日1往復しかないらしい。しかし、テルエル発は14時10分、アルバラシン発は8時55分で、アルバラシンに1泊しかしなくても観光時間は十分に確保できるといううれしいスケジュールだった。 テルエルを14時10分に出るバスに間に合わせるにはどうしたらよいか。 一番安くあげられるのは9時のバスでマドリードを出て、13時30分にテルエルに到着という方法だが、せっかくなのでテルエルも少し見たい。ということで、マドリード6時半発のAveに乗り、7時51分サラゴサ着。サラゴサで8時14分発のローカル列車に乗り継ぎ、10時39分テルエルに到着というスケジュールに決定した。14時10分のバスまで3時間半あるので、十分テルエル観光ができるだろう。 まだ暗い6時前にアトーチャ駅に到着。 すぐに券売機でチケットを購入しようとしたが、AVEのチケットを購入するにはスペイン国鉄と紐づけられたカードが必要らしく、自分のクレジットカードでは購入不可。ということで、チケット購入窓口へ行くと、列車はすでに動いているのにもかかわらずまだ開いていない。ピンチだ。 6時15分だったか、20分だったか窓口の営業開始。幸い列は短く、すぐにチケットは買えて、6時30分発のAVEに乗車することができた。 サラゴサで8時14分発のバレンシア行に乗車、10時40分(定刻39分)テルエル到着。 テルエルの街の中心は台地の上にあり、鉄道駅の正面にある階段をのぼっていく。
テルエルの街は思った以上に小さく、12時過ぎには見どころはほとんど見終わってしまった。これだったら、ここまでバスで来て、明日、マドリードへ戻る前にテルエル観光というスケジュールにしておけばよかったと思ったが、翌日、結果的に、この日、街を一通り歩いておいてよかったということになった。 バスターミナル内で昼食をとり、あとは14時10分のバスを待つのみ。 バスは定刻で出発し、14時55分ころ定刻通りアルバラシンに到着。
村の中の趣のありそうな宿をとろうかとも考えたが、バスを降りてすぐのところにあった、食料品・土産物屋を兼ねている店がさらに宿を兼業しており、部屋の有無と料金を尋ねてみたところ、部屋はあり1泊35ユーロと安かったので即決。荷物を置いて街歩きに出た。
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