アシラ <4日目> 8時20分ころホテルをチェックアウトして、地下鉄で空港へ移動。 自動チェックイン機でチェックインを済ませ、セキュリティチェックを通り、ターミナル内を連絡する電車に乗り、出国手続きが必要な便が発着するサテライトへ移動。 タンジェ行きの便はワンワールドに加盟しているイベリア航空で、同じワンワールドのJALのステイタスを持っている自分はイベリア航空のラウンジが利用できる。ということで、出国手続きを済ませた後はラウンジに直行して朝食をとった。 定刻11時30分のイベリア航空便は20分くらい遅れて出発。 モロッコ時間11時15分、タンジェのイブン・バットゥータ空港に到着。ふだんはスペインとモロッコの時差は1時間なのだが、モロッコではラマダン期間中のみサマータイムを適用していないので、スペイン時間から2時間も時計の針を戻すことになっているのだ。何かとても得した気分。 ラマダン期間中、ムスリムは日の出後日没まで断食するので、サマータイムで生活するとビジネスアワーが終了してから日没までの時間が長すぎ、つまり食事がとれるまでの時間が長すぎて(たぶん精神的に)きついということで、ラマダン期間中だけサマータイムをやめているのだろうか? モロッコの入国審査はあっさり終わり、税関の手前の両替所へ行くと、ここがまさにモロッコだった。 100ユーロ紙幣を出して両替をお願いすると、窓口の若い女性が400ユーロ以上両替すると手数料が安くなると言って、大量に両替させようとするではないか(彼女らはマニュアル通りそう言っているのだろうが)。しかし、おそらくモロッコには短期間しか滞在しないので、100ユーロしか両替しなかった。(小さな空港でパッと見たところATMもなさそうな感じだったが、未確認) 両替後は荷物の、かたちだけのエックス線検査を受け、税関を通過し、すぐにターミナルを出た。 空港バスというものはなく、タクシーしか選択肢はなかった。 これはタクシーの運ちゃんと厳しい料金交渉だと思ってタクシー乗り場へ行くと、空港からあちこちへのオフィシャルな料金表があった。 それを見るとタンジェまで100DH(ディルハム)、アシラまでは200DH(2700円強)。 タンジェまでタクシーで移動して、バスか鉄道、もしくは乗り合いのグランタクシーでアシラへ移動した方が安くあげられるが、200DHでアシラまで行った方が時間が節約できてアシラの街歩きもゆっくりできるということで、タクシーを選択することにした。 公定運賃はあるようだが、ここはモロッコだ。確認が大切、ということで、1人の運転手にアシラまでいくらか尋ねるとアシラ行きはあっちの車だと言われる。どうやらタンジェ方面に行く車とアシラ方面へ行く車が違うらしい(実はこれで助かった)。 アシラ方面へ向かう車の運転手に運賃を尋ねると250だという。「あすこの表に200とあるけど」と言うと、「あれは古い運賃だ」という。あすがモロッコ、軽いジャブを打ち込んでくるではないか。 タクシー乗り場にいるアシラ行の車はどうやら今の所1台だけで、この車を逃すと早々の移動は困難になるのでちょっと困ったが、このタクシーはタンジェへは行けない車だ。ということで、「250ならば、あっちのタクシーでタンジェに移動してそこからバスでアシラへ行く」と言った。これで運賃を下げて来なかったらさらなる交渉が必要だったが、あっさり「200でいい」と言ってきた。念には念を入れて、200ということを再確認して車に乗り込んだ。 メモがないので、所要時間は定かではないが、12時20分ころ、アシラの旧市街の入口に到着。 そこから徒歩圏にある、予約しておいた新市街のホテルにチェックイン。 部屋で日本から持って行ったカロリーメイトをかじったあと、翌日のメクネス行き列車の時刻の確認とチケットの購入のためアシラ駅へ行った。
今時、列車の時刻ならばネットで確認できるのだが、モロッコ国鉄のページのタイムテーブルがちゃんと表示されないという問題があったし、以前、列車が満員でチケットを買えないという状況を目にしたことがあるからだ(自分はするどい勘が働いて前日購入しておりことなきを得たが)。 アシラの街から駅までは2キロくらいある。駅舎がタンジェとアシラを結ぶ道路に面したところにあると良い思うのだが、その逆側にあり、道路から駅舎へアクセスする跨線橋もない。おまけに線路脇にはずっと金網が張られているではないか。駅舎側へ通じていると思われる道路はあるにはあるが、それは通りすぎてしまったし、通り過ぎていなくてもとても遠回りだ。どうするか? しかし、駅の近くの金網は破られているはずだ。 歩いていくと案の定、ホーム近くの金網が破られており、そこからホームへ、さらに線路を渡って駅舎へ行けた。 駅舎のチケット売り場の近くにはラマダン期間中の時刻表が張り出されていたが(モロッコ国鉄のタイムテーブルが表示されなかったのはそのことが関係している?)、それがわかりにくく、メクネスへ行く列車の時刻がよくわからない。 そうしていると切符販売の窓口の駅員がどこへ行くのか聞いてきた。毎回感じるが、基本とても親切なのだ、モロッコ人は。(うざったい連中も多いが) 翌日のメクネスまでのチケットを購入した後、カサブランカ方面行きの列車がやってきたので、その写真を撮ってアシラの街へ戻ろうと思ったところ、布で包んだ重そうな荷物をかかえた少女(16~18くらい?)がやってきた、何度も何度も荷物を持ち直しながら。
最初は、駅の向こう側にでもいくのだろうかと思って見ていたが、もしかして今停車中の列車に乗るのか、と思うとほうっておけなくなった。 スカーフをつけているし、服装も敬虔なイスラム教徒という感じなので、外国人男性の自分が声をかけて助けるのはいかがなものかとも思ったが、思い切って声をかけて荷物を持ってあげ、じぶんのあごを列車の方へ振って、「あれに乗りたいの?」という感じのジェスチャー。そうするとうなずいている。 それはまずい。もう発車時刻をすぎているじゃないか。荷物を持って小走りに走ったが、これがとてももちにくい。荷物はブラウン管テレビでこれを風呂敷のような布で覆っているのだが、ブラスチックと布の間に摩擦がなく滑るのだ。さっき彼女が何度も何度も持ち替えていたのはそのせいなのだ。おまけに、彼女はアシラの街からずっと持ってきたわけで、腕の筋肉もパンパンになっていると思われた。 その間、列車は発車せず待っていてくれる。テレビを列車に運びあげてヤレヤレと思っていると、車掌と少女の間で「切符は?」「持っていない」「じゃあすぐ買ってきて」、少女、エエーッ? 列車内で買えないの?という顔。 ということで少女はさらに駅舎に走った。 異教徒の男性がこれ以上関わるのはまずいかもと思い、自分はテレビを運びこんだ後、すぐにその車両から離れてアシラの街へ向けてホームを歩き出したので、少女のその後は見届けてはいない。けれど、列車はしばらく発車しなかったので、ちゃんと乗車できたのだと思う。 ホームを歩いている最中、列車の運転手はニコニコしながら手をあげてくれたし、線路を渡った向こうのホームでも駅員が手を振っていた。基本、人にやさしいモロッコ人だから自分の行動は問題ないだろうとは思ったが、異教徒の男性が何をしてるんだ、という感じでは見られていなかったようでよかった。
その後、アシラのメディナを散策。
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