ネムルート山

<9日目続き>
ホテルの部屋を確保した後、すぐにネムルート山のサンセット・ツアーに出かけた。

ネムルート山のツアーには、基本的には午後に出発して周辺観光地を巡り日没を山上で迎えるサンセット・ツアーと、深夜にホテルを出発して山上で夜明けを迎え、その後、周辺観光地を巡るサンライズ・ツアーとがある(マラテアからは夕日、朝日の両方を見ることができるツアーが出ている)。

サンライズ・ツアーという選択肢がないというわけではなかったが、なぜか夕日の方が好きで、深夜にホテルを出発するのもきついということで、サンセット・ツアーに行きたかった。

もう16時を回っていて、周辺の観光地を見物する時間はなく、ネムルート山に直行して、そこで日没を待ち、夕日を見てからホテルに戻るというスケジュールしかとれない。しかし、それで十分だと考え、ホテルのレセプションでホテルとネムルート山を単純に往復するだけの車の手配をお願いした。

ネムルート山は標高2150mあり、この山頂に砕石を高さ50m、直径150mの円錐形に積み上げた墳墓がある。紀元前2~前1世紀頃に栄えたコンマゲネ王国のアンティオコス1世の墓だ。墳墓の東西にはテラスがあって、そこには首のない石像が5体ずつあり、その下には石像から転げ落ちた大理石の首が並んでいる。石像はギリシアの神々や墳墓の主アンティオコス1世自身である。



東側のテラス。夕方なので日陰になっている。神像の胴体部分の保存状態はこちらの方が良好。ちなみに、その後、東側のテラスは整備され、神像の頭の部分が一列に並べられた。




東側のテラスの前にある祭壇とライオン(?)の像。




東側のテラスの前にあるライオンの像の頭部。現在はこれも神像の横に並べて置かれているようだ。




東側のテラスの神像の胴体近くまで登って祭壇を眺めた(96年当時は自由に歩き回ることができたが、その後、チェーンが張られて神像の近くは立ち入り禁止になったようだ)。




東側のテラスの神像の胴体(足元まで登って撮ったもの)。手前の像にトゲトゲのようなものがある円柱状のものが写っているが、この像はヘラクレス象で、円柱状のものはヘラクレスの持つこん棒らしい。




東側のテラスから墳墓の北側を回り西側のテラスに移動。するとまず、このレリーフに出会った。中央はアンティオコス1世(左)がアポロン神と握手している様子を描いたもの。残念ながら肝心の手の部分が剥落してしまっている。この右側のレリーフは崩壊しているが、ここにはアンティオコス1世とゼウスが握手している様子が描かれていたようだ。なお、このレリーフは、その後収蔵庫に移されたようだ。




上のレリーフの横にもアンティオコス1世と神が握手しているレリーフが写っている写真があったので、拡大してみた。神と握手する=王権を神から授けられるということを示しているらしい。







こちらは西日を受ける西側のテラス。神像の頭部の保存状態はこちらの方が良好。後方の山は、岩のかけらを積んだ円錐状の墳墓。




左から順に。王権を象徴するといわれるワシ、アンティオコス1世、ゼウス(ティアラにほどこされている飾りは星らしい)、女神コンマゲネ。




駐車場にあったお土産屋で買ったものか? たぶん、ゼウス。アンティオコス1世をかたどったものもあったはずだから、そっちを買っておけばよかったかも。




たぶん、右はヘラクレス、左はアポロン。







下界を望む。




下界を望む。三角形の影は墳墓のもの。




神像の頭部を後ろから撮ってみた。




レリーフに自分の影を写しこんでみた。







山上で出会った親子と記念撮影(当時は立ち入り禁止区域がなかったのでこんな記念撮影も可能だった)。写真から神像のサイズがわかると思う。













西側のテラスから望む夕日。



日没後、ホテルに戻る。