ダウラターバード要塞

<11日目>
この日はホテルで知り合った日本人とタクシーをシェアして観光した。

メモによると、アウランガーバード1日目の夜、ホテルのレストランで日本人旅行者と知り合ったとある。

その方は神戸在住の銀行員のHさんといい、短い休暇をすごすため甥っ子さんと二人でインドへやって来たとのこと。

Hさんは、若い頃かなり世界を歩いており、「今は行けない状態になってしまったけれど、アフガニスタンのバーミヤンにも行って来ました」とか(バーミヤンの石仏はその後タリバンによって爆破されてしまい、治安的に行けないだけではなく物理的に見られなくなってしまった)、色々と興味深い話を聞かせてもらったと思う。

バーミヤンの話で思ったことは”行けるうちに行っておけ”ということだった。そして、周知の通り、その後、内戦などでシリアやイエメンの再訪はかなわなくなったし、いつか行きたいと思っていたマリやリビアは、観光できるようになる可能性は現状ゼロにしか見えない。

ただ、それよりも目下の問題はコロナ禍がいつまで続くのかということで、以前のように海外へ出かけることができるようになるのかどうかということではある(これを書いているのは2021年3月初旬)。

話がそれてしまった。

さて、この日はHさんの「タクシーをチャーターしてあるので、よかったら一緒に行きませんか」というお言葉に甘えて、同乗させてもらうことにした。

※この3年後の1月、阪神大震災が発生した。Hさんの消息が気になったが、交換したはずの住所のメモをなくしてしまっており、連絡がとれなかった。ご無事で暮らされていればよいのだが。


9時、ホテルを出発。

まず訪れたのが、ダウラターバードの岩山をそっくりそのまま利用した城砦(ダウラターバード要塞)。もともとは12世紀末、ヒンドゥーの王朝の首都として築かれたが、その後ムスリムの手に渡ったといこと。



岩山の麓にあるヒンドゥー寺院。ちなみここはすでに城門を通過した後、つまり城塞内。頂上に建造物が見える。




円錐形の岩山のすその部分を切り落として垂直の壁を作り、さらに堀まで設けられている。どんだけの労力を使ってこんな工事をしたのか!?




例によってフィルム節約のため、城内の色々な場所の写真を撮ってはいないのだけれど、チャーンド・ミナール(15世紀半建設の戦勝記念塔だとか)が見える風景は何枚も撮っている。グーグルマップのストリートビューを見ると要塞の頂上へ向かう道は、なかなか写欲をそそる光景が続いていたのだなあと思う。デジカメを使っている現在ならば相当シャッターを切っていたと思う。




まだ、登っている途中。たぶん、「デカン高原だあ」と思いながら撮ったのだと思う。




たぶん、頂上のあたりから。城壁が二重になっていて、空堀もあるのか? 遠くが霞んでいるのは、フィルムの劣化・退色のためというより、空気が湿気を多く含んでおり、若干もやがかかっていたからだと思う。




緑のデカン高原。頂上あたりにある建造物から撮ったもの。じつはこの光景をバックに撮った記念写真もあるのだけれど、グーグルマップのストリートビューを見ると、建物のどのあたりから撮ったのかまでわかり、まさにweb上で再訪旅行をしている感じ。




来た道を下りながらチャーンド・ミナールのある風景を撮って行った。右側にさっき寄った寺院が見える。




左側にある円筒形の部分は砲台か?




チャーンド・ミナールの右側にある道を歩いて来た。




一番外側の城門。去り際に「あれ、入口撮ってなかったな」ということで撮った」もの。自分にはよくあるパターン。この奥にも城門があるのだけれど、それもちゃんと撮っておけよ自分、という感じ。




一路、エローラへ向かって爆走(※)かと思っていると、さすがタクシー、こんな素敵なダウラターバード要塞のビューポイントに連れて行ってくれました。円錐形の山のすその部分を切り崩して絶壁にしているのがよくわかると思う。それにしても雨季のデカン高原は緑が豊かで美しかった。
※インドの運転手で爆走しない人はほぼ見たことがない。