パラッツォ・アドリアーノ

<2日目続き>
この旅に出る前にインターネットで得られたパラッツォ・アドリアーノ行きのバスに関する情報は、チケットはパレルモ駅に新しくできたバスターミナルではなく、駅の東側にある通りにあるバール(Bar)で売っているということ、パラッツォ・アドリアーノ行きのバスは1日に2便しかないということ、バスの発車時刻は、朝6時台(この記憶は曖昧)と13時であること、パラッツォ・アドリアーノまでの所要時間は2時間35分であるということなど。

早朝のバスを選択しなかったのは(早朝のバスがあったのかどうかも今となっては定かではないのだが)、チケットを売っているバールが朝早くから開いているかどうかわからず(バスの車内でチケットは運転手から買えるらしいのだが)、もし営業していなかったらどこにあるのかわからないバスの乗車場所を尋ねることができないというような理由からだったか?

ネット情報によると、13時のバスは定刻よりかなり早くパラッツォ・アドリアーノに着き、そのバスが折り返すまでの時間で、パラッツォ・アドリアーノを歩くことは可能らしいこともわかっていた。しかし、定刻通り運行された場合、教会のある広場を眺めるくらいしかできないので、事前にホテルを予約しておいた(ホテルについては後述)。

バールでチケットを買い、駅前でバスが来るのを待ったが、定刻の13時になってもバスは現れない。もしかして、バスはこことは違う場所から出るのか? と思っていると、13時8分、ちゃんと「パラッツォ・アドリアーノ」という行先表示のあるAST社のバスがやってきた。

定刻より35分も早い15時ころ、パラッツォ・アドリアーノの映画で見覚えのある広場に到着。定刻よりかなり早く着くというネット情報は正しかった。



映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の舞台となった架空の村ジャンカルド村のロケ地として使われたパラッツォ・アドリアーノのウンベルト一世広場。とても趣のある広場だった。だからこそ映画の舞台となったのだろうが。




小さな村というより、少し大きめな村という感じ。




広場を色々な場所から眺めてみた。映画は1回しか見ておらず、自分にとっては「ニュー・シネマ・パラダイス」のロケ地としてより、観光地ではないシチリアの田舎町としての興味が上回っていたように思う。




民家の入口へ続く階段で見かけた猫。




路地もそこそこ趣があった。







広場に戻って来た。




広場から伸びる通り。




映画でたびたび出てきたので印象に残っていた泉。




泉に近づいて1枚。




映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の半分くらいは(もっとか?)は、主人公の少年と映画館の映写技師との関わりが中心だったと思うが、何せ1回しか見ずにここへ来たので、その映画館のセットがあった場所がはっきりとはわからなかった。それで、帰国後DVDをもう一度見てみたところ、この写真の中央あたりが映画館があった場所だとわかった。




一つ上の写真を拡大してみた。真ん中に黒っぽい車が停まっているが、作品内では、その左手くらいに映画館があることになっていた。作品中に、映写機のレンズを映画館の外の方へ向けて、外の建物に映画の映像を映して広場に集まった人々を喜ばせた場面(だったと思う)があるのだが、その建物は泉の奥にある窓がのっぺりとした建物だと思う。




作品中の映画館があったあたりから広場を眺める感じ。




またまた泉を。




もう少し村内を散策。



1時間くらい広場や村内を歩き回って、この日の宿カサーレ・ボルジアへ向けて歩き出した。

ネット情報では広場から割と近い場所にあるレストランが宿も営業していることになっていて、ホームページがあってメールアドレスも公開されていたので、メールを送ってみたのだが、結局連絡がつかず。そこで、ホテル予約サイトで調べてみると、パラッツォ・アドリアーノの中心から2㎞くらいのところにホテルがあったので予約したのだが、それがカサーレ・ボルジア。

パラッツォ・アドリアーノの街並みを抜けると農地が広がったが、農家は皆番犬を飼っているようで、あちこちからものすごい勢いで吠えたてられた。

そんななか一匹の小さめの犬が寄ってきて、これも狂暴な番犬か? と思って警戒しながら歩いた。

その犬はつかず離れずという感じで一緒に進んでいき、結局、ホテルまで一緒だった。ホテルの飼い犬で、客だと察知して案内しているつもりだったのだろうか?

ホテルには田舎には似つかわしくない大き目のホールがあり、その日の夜は近郷近在の人々(?)が集まった宴会が行われた。日本の田舎でも国民宿舎みたいなところで、農閑期などに農家の人たちが集まって宴会を開くなどということがあるように思うが、このホテルもそうした機能を持つホテルなのだろうか? ちゃんとしたレストランがあるということは、日本でいうドライブインみたいな機能を持ったホテルなのかもしれない。

厨房はフル回転だったようだが、僕の夕食は宴会と同じものを出すのではなく、別に注文を受け付けてくれた。当たり前といえば当たり前だが、大宴会があったのにもかかわらず、きちんとしたサービスを受けることができてよかった。



<3日目>


ホテルの中。外の写真も撮っておけばよかった。




部屋からの眺め。



旅先での朝食はいつも割と早いのだが、パレルモ行きのバスが出るのが13時45分と、時間がありすぎるくらいあるので、9時と遅めの朝食とした。

その後、部屋で時間をつぶし12時ころチェックアウト。

また、犬たちに吠えられながら歩くのかと思うと、少々気が重かったが、昨日から色々と世話をしてくれた宿の日本でいうおかみさんみたいな方が車で送ってくれるというで、ありがたく乗せてもらう。

ところで、この旅行記を書くにあたって、このホテルをネットで調べてみたが、どうもすでに営業していないようだった。



再びウンベルト一世広場。この日は土曜日で、広場には村というか近郷近在の人々が集まっていた。




広場に面した教会(だったか)の壁にある日時計。12時ちょっと過ぎをさしている(割と正確)。




けっこう時間があるので、街歩き。







改めて写真を見ると、村内はどこもきっちり石畳が敷かれていることに気が付いた。



13時45分のパレルモ行きのバスがちゃんと来るのかやや不安だったが、定刻通りウンベルト一世広場にやって来た。

16時10分、パレルモ中央駅到着(定刻は16時半)。

途中に寄った山にへばりつくようにしてできたprizziという村が、とても気になった。

パラッツォ・アドリアーノといい、prizziといい、一般的な観光地ではないが、こんなに趣のある場所があるとはシチリア島はなかなか侮れないところである。世界にはこんなところが沢山あるのだろうなあ。