北京(1) <10月24日(3日目)>9時過ぎ、ほぼ定刻通り北京到着。北京の空は真っ青だった。いままで何回か来たときはいずれも夏だったが、夏の北京は意外と湿気が多く、水蒸気が空をおおっていて、ほとんど青空は見られなかった。長城が楽しみである。 列車を降りると、一晩同室だった彼らと別れ、まず、日本航空へ行った。予想通り東京行きの便には十分な空席があった(翌年また中国旅行をするつもりだったので北京-東京の往復の航空券を購入した)。 航空券の購入後、衛星放送の受信施設があるクラスの高級ホテルに部屋を確保した。NHKの衛星放送のニュースで日本の天気予報を見るためである。出発前の予報では大丈夫そうだったが、台風シーズンだから安心はできない。帰国する26日に台風が関東に接近する気配でもあったら、予定を切り上げて25日に帰ろうと思った。 午後、明の十三陵の一つ長陵へ行った。 ホテル近くからバスを乗り継いで十三陵へ行く際の拠点昌平に着いた。「タクシーと交渉だ」と思って歩き出すと、おじさんたちが近づいてきた。バイクタクシーのドライバーだった。バイクで十三陵まで行かないかということだったが、「(バイクは)怖い」というジェスチャーをして断った。しかし、怖いというジェスチャーを「寒い」と勘違いしたらしく、毛布を取り出して大丈夫大丈夫という言ってきた。身振り手振りでは意思疎通ができていないようなので筆談に移行(筆談用のメモ用紙をカバンの中に入れていたのはいうまでもない)。メモ用紙に「恐怖」と書いてバイクを指さすとドライバーのおじさんたちは引き下がってくれた。はたして「恐怖」の文字は中国語的に正しい使い方だったのか? でも、理解はしてもらえたようなので結果オーライだ。 15時ころタクシーをつかまえ、十三陵の一つ長陵(成祖永楽帝の墓)に向かった。前回(1986年)に来た時は定陵へ行ったので、今回は長陵を選択したというわけわけ。
メモによると45分くらいの滞在で長稜を後にして北京市内へ向かったようだ。 昌平からは16時半発の徳勝門行きのバスに乗車したが、メモによると、徳勝門に着いたのは18時。往路は50分くらいしかかからなかったのに、復路は1時間半を要したようだ(バスに何か故障とかトラブルでもあったのか?)。 この後、ホテルへは向かわず、地下鉄和平門近くにあった北京ダイヤモンドレストランという日本料理屋へ行った。もう日はとっぷりと暮れており、ほとんど真っ暗な道を歩いて行った。今(これを書いているのは2022年6月)では繁華な街になっているのだろうが、この当時は地方の街を歩いているという感じだった。 迷いそうなシチュエーションだが、北京の街の道が碁盤の目状であるためか、わりとすぐに、真っ暗な街の中、小さな店の灯りがほのかに浮かび上がっているのが見えた。 この店は、中国人にも日本料理を味わってもらおうという意図で、日本に留学していたという中国人が開いた店で、値段も外国人向けのものではなくリーズナブルなものだった。日本の地方都市の小さな定食屋という感じの店で、妙に印象に残っている。 |