ペルー再訪

<6月20日>
ホテルの10レアルランチを食べた後、空港に向けて出発。空港は日本人だらけで、搭乗便の乗客ももちろん大半が日本人で、日本の国内線状態。

16時にナタルを出発し、19時40分頃サンパウロに到着。飛行機のドアが開けられると、レシフェ、ナタルとはまったく違うひんやりとした空気が入ってきた。広大なブラジルは、地域による気候の差も大きいのだ。

僕のすぐ斜め後ろに座っていた藤田俊哉氏と同行の人との会話が聞こえてきた。藤田氏はイトゥ(サンパウロ近郊)でトーレーニングして、レシフェ、ナタルで試合では暑いというようなことを話していた。日本チームがグループリーグを勝ち抜くことができなかった要因は沢山あるのだろうが、トレーニング地と試合会場との気候差も大きかったのかもしれない。涼しいところから暑いところに行くと、なかなか体は順応しないものだから。自分の応援する札幌も北海道がそれなりに暑くなる時期は本州以南での試合でもある程度動けることが多いのだが、北海道がまだ寒く(涼しく)、本州以南がすでに夏の暑さになっている時期に一番動きが鈍くなることが多いという印象である。

この旅では基本的には寒さ対策はしてこなかったので、サンパウロの空港での寒さはこたえた。次の目的地リマへの便に搭乗するまでの、約7時間は、かなりつらい時間だった。

ところで、この世界一周旅を思いついた当初、ペルー行きは考えておらず、ワールドカップ観戦後、少しブラジル観光をしてから、アメリカを経由して帰国、というつもりだった。しかし、最初考えていたレンソイス・マラニャンセス国立公園が、案外綺麗ではないのでは、と思えてきたのだ。ここは白い砂丘が広がり、5~10月の雨季には、白い砂丘の間に多くの湖が現れるという場所なのだが、広大すぎて遊覧飛行でもすれば別だが、地上からだと見える範囲が限られ、それほどでもないのではと思ったのである。実際、インターネットで見られる写真にも今ひとつインパクトが感じられなかった。

そこで思いついた選択肢は2つ。一つは乾期のウユニ塩湖(ボリビア)、もう一つがナスカの地上絵(ペルー)だった。前者は一度雨季に訪れたことがあるが、塩湖の水が完全になくなった真っ白な平原も見てみたいという理由から候補となった。後者は、前回の訪問時には時間の都合で、地上絵を間近に見られるミラドール(観覧用のやぐら)に行けなかった、フィルム(当時はまだフィルムカメラだった)をケチったため地上絵の画像をあまり撮れなかった、この間、新たな地上絵が発見され見物が可能になった、などの理由から候補となった。前者は所要日数的に訪問は難しく、そこでナスカをめざすことにした。


<6月21日>
7時20分ころ、リマに到着。リマでの宿泊は日系人の経営するペンション。到着口で出迎え担当者と落ち合い、ペンションまで移動。

荷物を置いて一息ついた後、まず、近くの銀行のATMでペルーの通過ソルを確保。その後、翌日のナスカ行きのバスのチケットを買いに出かけた。

ペルーのタクシーにはメーターがついておらず、いちいち運転手と交渉しなければならない。しかし、メーターではないことにはメリットもあって、遠回りをされて余計な金額を払わされるということはない。地元の人に聞いて相場さえわかっていれば、観光客であってもけっこう安心して使えるのである。もちろん、相場を知らなければとんでもなく高い金額で乗らなければならないということにもなるのだが。

ペンションで一応の相場を聞いてから、オルメーニョというバス会社へ向かった。ペルーのバスは基本的にはバス会社の建物のある場所から出発するので、ターミナルへ行って多くのバス会社の出発時刻や料金を比較してチケットを買うということができない。オルメーニョ社は前にナスカへ行ったときに使ったバス会社で、現在はどんな感じになっているか興味があった。また、そこから徒歩圏内にクルス・デル・スール社もあり、どちらかで確実にチケットが確保できるであろうという計算である。

オルメーニョ社に行ってみると、前に来たときはもっと立派だったように思うが、時間が過ぎた分だけ寂れてしまったという感じ。翌日のナスカ行きの便について聞くと「ない」という回答。しかたがないので、クルス・デル・スール社へ向かう。こちらは立派なターミナルで、随分と繁盛している感じだ。

ナスカ行きの便は朝早い時間帯と午後に何便かずつあり、僕は翌日の朝7時半の便を選択。チケットの料金は73ソルだった。

ナスカ行きのバスのチケットを確保したので、この日やるべきことはなくなった。あまり寝ていないのですぐに宿にもどって部屋でゆっくりとも考えたが、新市街のミラフローレス地区に出て、市内観光ツアーの情報を得た後(これは、と思える情報はなかった)、昼食をとってから宿に戻った。



ミラフローレスの中央公園のあたり。様々なタイプの絵が売られていた。



<6月22日>
朝6時半、同宿の人たちがまだ寝静まっているなか、ペンションを後にする。朝早いが、近くのショッピングセンターの駐車場には数台のタクシーが止まっており、そのなかの一台に声をかけて、クルス・デル・スール社まで移動。

バス会社で待つことしばし、チケット売り場の前に、日本のテレビ局の撮影クルーが(スタッフの一人に尋ねたところテレビ東京の番組の撮影とのこと)。彼らとは同じバスでナスカまで移動することになったが、バスに乗り込んでみると、自分の前の席一帯が彼らの席だった。前日、バスの座席を指定したとき、すでにけっこう埋まっていたのは、彼らが押さえていたからなのであった。撮影はその場でチケットを買うという設定のようだったが、当たり前だが、前日から押さえてあったのだ。

乗車前に、まず大きな荷物のチェックインを行う(これは係員がバスの荷物室に入れる)。そして、乗車の際に車内に持ち込む荷物のチェックを受けて乗車となる。このシステムは以前に来たときと基本的には変わっていないと思う。

リマを出発したバスは、パラカス、イカと停車してナスカまで行く。パラカスはペンギンや海鳥の生息地として有名なバジェスタ島への船が出る街で、また、ここからナスカの地上絵の遊覧飛行も出ていてけっこうな観光拠点となっている。実際、ここでかなりの数の観光客が下車した。

15時過ぎナスカ到着。予約していたホテルへ向かう。



日本のテレビの撮影隊。バスのチケットを購入している(という設定)。




バスで出された朝食。昼食は出なかった。飲み物のサービスもあった。




宿泊したホテル。プールもある高級ホテルだが、日本円で6000円代で泊れたので選択。3週間ほどの旅なので、この程度の贅沢をする余裕はある。



ホテルに荷物を置いた後、すぐに翌日の地上絵の遊覧飛行を申し込みに出かけた。

遊覧飛行の料金はまちまちで、いくつかの旅行会社を回って決めた方がよい。ということで、まず、ホテル近くの会社を訪ねた。聞くと遊覧飛行には2種類あって、一つは以前からあるルートで所要時間は35分くらい。もう一つはパルパの地上絵まで行く、飛行時間1時間くらいのもの。前者の料金は空港までの送迎もついて75ドル。後者の料金は一気に跳ね上がって160ドル。両方とも『歩き方』に乗っている料金よりも20%以上安い。探せばまだ安いフライトがあるのかもしれないが、ガイドブックに乗せられている金額よりも安いなどということは、長い旅行経験のなかでもめったにないことである。ということで、この会社で遊覧飛行を申し込むことにした(ちなみに、上で書いたテレビ東京の番組でも出演者が地上絵の遊覧飛行に参加したのだが、料金は100ドルであった)。

今回2度目のナスカ訪問を決めた経緯から、参加すべき遊覧飛行は1時間コースなのだが、一つ問題があった。料金が高いので、参加者が集まりにくいのだ。参加者が少ないと、その遊覧飛行は催行されず、30分コースで我慢しなければならない。「明日の朝までに何とか参加者を確保したい。とりあえず、今は35分コースの料金を支払って、明日の朝、1時間コースが催行ということになっていたら残金を支払って」といわれ、75ドルを支払いバウチャーを受け取り、そのオフィスを後にした。



ナスカの街の中心、アルマス広場。




市場を散策。




これも市場で撮ったもの。誕生会が行われていた。



          

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