シュガートレインを見に行く


2013年、夏の旅である。
今回の目的地はインドネシア。
そもそも、なぜインドネシアなのか。一番は、そろそろボロブドゥールを見に行くべきではということであった。巨大遺跡見学を旅の主要なテーマの一つとしてきたからには、ボロブドゥールを見ないでおくという選択肢はない。

ではなぜ今までボロブドゥールを見に行かなかったのか。その理由は、他の観光要素が思いつかなかったからである。せっかくの旅行だし、色々見られる場所へと思い、旅先を選択しているうちに、インドネシアが残ってしまったというわけである。

しかし、そもそもインドネシアについて知らなさすぎた。色々調べているうちに、自分にとって魅力的な要素がいくつか浮かびあがってきた。その一つはシュガートレインである。サトウキビ畑から製糖工場へ収穫したサトウキビを運ぶ鉄道があって、製造から100年くらい経過した、ほとんど博物館に展示されるレベルのSLが、いまだ現役で頑張っているというではないか! 自分はバリバリの鉄道ファンではないが、何かの刺激を受けると、ときどき「鉄分」が多くなる。シュガートレインは、その古さというのが大きな刺激であった。

というわけで、シュガートレインを見るべく旅行計画をたてた。ネットを調べると、やはり時代の波か、サトウキビ畑と工場を結ぶシュガートレインの多くはなくなりつつあるようだったが、スンブルハルジョの製糖工場では畑と工場を結ぶ線路が生きているらしかった。ということで、まずはスンブルハルジョ行きを決定。そして、そこから割りと近いところにあるスラギの製糖工場は、トラックが運んできたサトウキビを降ろす場所と製糖工場の構内が若干離れており、そこをSLが走っているらしかったので、ここも見学予定地とした。

さて、ではどのようにしてアクセスするかである。自分は基本公共の交通機関を使って自力でという旅をしているので、今回もそうしたかったが、製糖工場へのアクセスについて書いてあるガイドブックなどはなく、最寄の街に行ってから情報収集をせねばならない。となると、製糖工場のSL見物だけでかなりの日程を確保せなばらなず、ボロブドゥールその他の観光時間がかなりの制約をうける、もしくは一部をあきらめなければならなくなる可能性が高い(バリ島でライスフィールドを眺めるという予定も組みたかった)。

ということで、車を雇うことにしたが、ジョグジャカルタの旅行会社にメールで問い合わせると、運転手は外国語が話せないので、ガイドをつけるように言われた。運転手とのやりとりがうまくいかなければ、目的を十分に達することができない恐れもあるので、旅行会社の要求にしたうことにした。なお、ガイドは日本のできる者が用意できるとのこと(インドネシアの旅行会社は日本語ガイドをかなりかかえているようだ)。

さて、旅行会社の提示してくれたルートと料金は次の通り。
ルート1:まず自分でジャカルタからスマラン、もしくはジョグジャカルタまで移動。その後、早朝3時頃スマランもしくは夜中1時頃ジョグジャカルタ発→スンブルハルジョ→スラギ→ボロブドゥールもしくはジョグジャカルタ着、という行程で日本円で26,500円(車チャーター、ガソリン、ガイド代)。
ルート2:まずは自分でジョグジャカルタまで移動。その後、ジョグジャからプマランへ陸路移動、プマラン泊、22日(木)朝8時ホテル発製糖工場訪問後、ジョグジャカルタもしくはボロブドゥール着、という行程で日本円で41,500円(車チャーター、ガソリン、ガイド代)。

ルート1は安いが、すごい日程だ。ドライバーも疲れるが、客も疲れる。ルート2は料金は高いが(ルート1の料金が安すぎるという感じ、夜明け前からおそらくは日没後まで走ることになるので)、比較的緩やかな行程。結局、ルート1はきつすぎるので、2を選択。かなり高い旅となった。


まず、ジャカルタに飛び、空港の近くの安ホテルで1泊。
翌日、ジャカルタからジョグジャカルタに飛び、空港でガイドと落ち合った。

ガイドはハルマンさん。日本の建設会社で研修生として働いていたということで、日本語はペラペラである。車に乗る前に旅行会社のスタッフに代金を支払い出発。

出発すると早速ガイドが始まった。インドネシア人のほとんどイスラム教徒で、彼もイスラム教徒。自己紹介で、日本の建設会社で働いていたとき、現場の仲間とビールをということになり、自分も飲んでしまった。「おいしかったです。私悪い人です」という。また、自炊していたそうで、スーパーで肉を買ったのだが、肉の書いてある日本語がわからず豚肉を食べてしまった。「おいしかったです。私悪い人です」
イスラム教徒は飲酒が豚肉を食べることは禁止されているから「悪い人です」ということなのだが、「おいしかったです」は本音かもしれないが、彼の日本人客に接するときの持ちネタなのだろう。

さて、1日目は、プマランまで移動して終わり。ホテルは立派なホテルだが、日本円で一泊2000円
強。ガイド氏とドライバー氏は別のもっと安いホテルに宿泊。


翌朝は予定通り、8時にホテルを出発し、まず、スンブルハルジョの製糖工場へ向かった。
彼らも製糖工場に観光客を案内したことはなく、迷いながらのドライブ。

旅行会社からスンブルハルジョ製糖工場には見学の連絡を入れてあり、見学料15万ルピーを支払って構内へ。
たくさんのSLが待機していたが、サトウキビ畑から製糖工場へは、夕方にサトウキビを運ぶことになっており、サトウキビ畑を走るSLを見ることはかなわないとのこと。トラックによるサトウキビの搬入は午前中から行われるようだったが。工場の偉い人は70万ルピー出せば、SLに乗せてサトウキビ畑まで連れて行ってやると言っていたが、そこまで鉄分は多くないのでお断りした。

さて、ガイド氏は、夕方まで待って畑からもどるシュガートレインを見ることも可能といっているが、サトウキビ畑の方にちょっと行ってもらい、すぐにスラギ製糖工場に移動してもらうことにした。スラギに行けば、かなりの確立で動いているSLが見られるはずなので。



スンブルハルジョ製糖工場で。



スンブルハルジョ製糖工場からサトウキビ畑の方に出た。ここは工場外なので、見学料はかからない。夕方のサトウキビ運搬まで待機している車両か?



これも、スンブルハルジョ製糖工場近く。手前の牛は、サトウキビの運搬に使っているらしい。奥には収穫前のサトウキビが見られる。



ディーゼルカーも。これも夕方のサトウキビ運搬まで待機している車両か。



スラギ製糖工場。トラックから降ろされたサトウキビの束を代車に移しかえているところ。この代車をSLが押して製糖工場まで運ぶ。



右に写っているようにトラックが製糖工場の敷地内に収穫済みのサトウキビを運搬してくる。







画面の奥の方がサトウキビの積み替え場所。手前の方に製糖工場があり、その間をシュガートレインが行き来する。バイクが止まっているところは踏み切り。→動画


スラギで動くシュガートレインを見られ、所期の目的は達成したので、ボロブドゥールに向けて出発してもらうことした。ちなみに、スラギ製糖工場だけであれば、乗り合いタクシーなどを利用して行くのも比較的容易なような感じだった。



ジャワ島にはこのような綺麗な山が沢山ある。せっかく車をチャーターしているのに、まっすぐボロブドゥールへ向かうのはもったいないので、山の撮影ポイントを探して走ってもらった。


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