セリヌンテ

<8日目(8月23日)>
この日の目的地はイタリアはシチリア島にあるパレルモ。あわよくば、トラーパニまで行ってしまおうと思っている。

まず、搭乗したのは、チュニス発、ローマ行きのアリタリア航空の便。以前はチュニジアの航空会社が週3便チュニスからパレルモへの便を飛ばしていたのだが、05年夏段階では、なくなっていた。

チュニスからトラーパニまで船で行くという手もないではなかったが、便数が少なく、かつチュニジアでのバカンスを終えてイタリアへ帰る人が多いためか、かなり混雑しているようだった。それで仕方がなく、チュニス-ローマ、ローマ-パレルモの便を確保した(ローマ行きの便もたいへん混雑していいて、6月中旬段階でビジネスクラスしかとれなかった)。しかし、そうまでしてシチリアにこだわらなくてもと思われそうだが、「巨大遺跡へ行こう」なるサイトを運営している自分にとって、是非とも訪れておきたい「巨大遺跡」がシチリアにはあったのだ。

ローマ行きのアリタリアのビジネスクラスでは、思わぬ収穫があった。わずか1時間半くらいのフライト時間だったが、軽い食事のサービスがあり、そこで出されたチーズ(3種類くらいあった)がかなり旨かったのだ。機内での食事を旨いと思ったのは実に久しぶりだった。

ローマから乗り継いだアリタリアの国内線の出発が40分ほど遅れ、パレルモに到着したのが17時半ころ。めざす遺跡へアクセスしやすいトラーパニまで行くのは難しくなってきた。市内へのバスはちょうど出発した後で30分待ち。パレルモ駅に到着したのは18時45分ころだった。腹も減ってきており、食事抜きで移動するのはきついと思いパレルモ泊に切り替えた。

パレルモは勝手知ったる街である。以前「歩き方」に載っていて、最近掲載されなくなったホテルへ行ってみた。なぜ、掲載されなくなったかは不明だが、駅からの距離は、その時掲載されているどのホテルよりも近かった。

ホテルへ荷物を置いたあと、まず駅を訪ねた。めざす遺跡はセリヌンテ。ここへのアクセスはえらく不便で、自分としてはめずらしく出発前に実際に行ったことのある人からアクセス情報を得ていた。遺跡の最寄駅のカステル・ヴェトラーノからのバスの便が極端に少なく、朝の便を逃すと昼過ぎまでバスがないということであった。

パレルモ駅でカステル・ヴェトラーノまでの列車について尋ねたが、パレルモからだとどう頑張ってもカステル・ヴェトラーノ着は9時半少し前になり、朝の遺跡方面行きのバスはつかまえられそうにないことがわかった、というか確認できた。ただ、バスの便に変更があるかもしれないと思い、翌日は6時40分発の列車で出発することにした。

駅を出た後、駅前のエリアを何となく歩き、今夜の食事の場所を探した。シチリアまで来ているのだから、シチリアっぽい食事をしてもいいかなと思っていた。表通りから一歩入ったところに、非常にこじんまりとしたレストランがあった。小さいテープルが5つあるだけ。一つ一つのテーブルは適正人数2人という感じの小ささだ。イタリアのどこかほかの街から来たと思われる親子3人連れがいて、その小さいテーブルで少々窮屈そうに食事をしていた。

若い男性店主が一人できりもりしているらしい店で、僕が入ったときは厨房にいて、先客に料理を出しに出てきたとき、僕に気付くという状態だった。サービスは期待できない。しかし、「一人でこだわってやってます」という雰囲気が、なぜか自宅のそばにある、一人の男性店主が経営しているカレー屋(休みが多く、かなり気まぐれな店だが昼時には行列ができる)を思い出させ、「けっこうやるのではないか、この主人は」などと勝手に想像してみたりした。

前菜はカットして、一皿目と二皿目だけを注文。一応、海の幸方面から攻めてみることにして、一皿目は海の幸スパゲッティ(イタリア語がわからないので正確なところはわからないがそんな感じ)。二皿目はメカジキ。メカジキは焼いただけだとパサパサしていて、ちっとも旨くないので、なんらかの手が加えられているものをと思い、メカジキを意味する「PESCE SPADA」の後ろに何か言葉がついているものを注文(IN UMIDOとあった)。出てくるまでのお楽しみである。飲み物は、アルコールがからっきし駄目なので水。

さて、いよいよどんな料理だったのかという報告ということですが、スパゲッティはダシがきいていて旨かった。カジキマグロは何かの酸味が疲れた体によかったという感じでしょうか? まあ、自分の舌は心もとないので、「けっこうやる店主」なのかどうなのかは、結局わからなかった、というのが結論である。



<9日目(8月24日)>
予定通り6時40分の列車で出発。アフリカ系の乗客が多い。昨日もかなり見かけたが、どうやらシチリアにはアフリカからの移民が増えているらしい。電車の乗客たちは、おそらく仕事なのだろうが、かなり長い時間乗車していた。いったいどこまで働きに行くのであろうか?

8時31分、アルカモというところに到着。8時40分発のカステル・ヴェトラーノ方面行きに乗り換え、9時18分、カステル・ヴェトラーノ到着。期待せずに、駅前のバス停に行ってみると、やはり12時45分までバスがない。もっと遅い列車で来ればよかったと思うが、仕方がない。駅から離れて街中を歩いてみたが、さっぱり時間つぶしにならない。結局、駅で時間をつぶすことにした。

12時50分、定刻よりやや遅れてセリヌンテの遺跡へ行くバスがやってきた。20分くらいで、遺跡入口近くに到着。大きな駐車場のある、よく整備された遺跡入口であった。公共の交通機関を乗り継いで訪問する観光客は、あまり想定されていないようだ。




カステル・ヴェトラーノの街。これは駅のすぐ近く。あまり遠くまでは歩かず、すぐに駅に戻った。




遺跡は東神殿群とアクロポリスに分かれている。写真の奥はE神殿で(BC.480年頃建造)、ご覧の通り修復されている。




E神殿。




E神殿から地中海を望む。




E神殿。




E神殿からアクロポリス方向を望む。




E神殿からアクロポリスに方向を望む。




写真の奥はE神殿で、手前の石がゴロゴロしている部分がF神殿跡(BC.560~540年頃建造)。










こちらはG神殿跡。BC.550年頃着工されたという113m×54mという巨大神殿の跡。人間と柱の太さを見比べるとその大きさを感じとることができる。




G神殿跡。



神殿群を一通り眺めたあと、アクロポリスへ向かった。1㎞ほどの距離があるが、幸い暑さはそれほどではなく、すがすがしい風が吹いている。エコツアーといって、電気自動車で遺跡内を移動するサービスもあるのだが、歩いて往復することに。



エコツアーの電気自動車(mp4=4.4Mb)。注意=風の音がうるさいです。




アクロポリス側から東神殿群方向を望む。ご覧の通りビーチもあり、ちょっとしたリゾート地らしい。




アクロポリス。C神殿の柱列が復元されていたが、修復のための足場があって美しくなかったためか、写真は撮らなかった模様。




アクロポリスで撮った動画。ちらっとだがC神殿が写っている。(mp4=8.6Mb)。注意=風の音がうるさいです。




アクロポリス(だと思う)。




アクロポリスから遺跡の出入口方向に戻る途中で1枚。




E神殿をもう一度眺めてから出口へ向かった。



さて、パレルモへどうやって戻るかだが、遺跡の入口前にあるインフォメーションによれば、17時10分(定刻は17時だったかも)のカステル・ヴェトラーノ行きがパレルモ行きのバスに接続するとのこと。乗り継ぎ地点は駅ではなく、街中のバスの営業所のそばで、パレルモまでのバスの乗車券はその営業所で購入とのこと。

17時半少し前、カステル・ヴェトラーノ着。バスの営業所らしきところ(旅行社の中に切符売り場があるという感じ)に飛び込み、パレルモまでの乗車券を購入。買っている最中にパレルモ行きと思われるバスが営業所の前を通過。てっきり、営業所前で乗れるのかと思っていたら、少し離れたところがバス停で、そこまでダッシュ。バスはどこかの街からやってきたようでほぼ満席。一応、コンピュータで席の管理が行われているらしく、僕の買った乗車券は最後の方の1枚だった。

17時35分に出発したバスは、定刻よりも15分も早い19時にパレルモ駅そばに到着。バスがこんなに早いのなら、バスでカステル・ヴェトラーノまで行っていれば、8時台のセリヌンテ行きをつかまえられたかもしれない。早朝のバスがあれば、の話だが。