西塘へ

翌朝、部屋のカーテンを開けると外は青空だった。上海をぶらつくのもいいが、せっかくの晴れ間だし、水郷の町へ行くことに。いくつかある選択肢のなかから選んだのは西塘。水郷の町の中でも「素朴さが残る」というのが決め手となった。

『地球の歩き方』には上海旅游中心からツアーバスが出ているとあったが、時間を決められた窮屈な観光はしたくない。蘇州からの行き方を書いたところで、バスは嘉善で乗り換えとある。そこで嘉善までは鉄道で行き、そこからバスでということにした。問題は嘉善の鉄道駅とバス駅の位置関係だが、これは前もって調べてあり、駅から徒歩圏内である(その後かなり遠くに移転したらしい)。もう一つ気になった水郷の町、烏鎮への行き方を考えたときに調べたのだ。

しかし、鉄道の時刻はまったく調べていない。上海南駅へ行けば何とかなるだろうということで、朝食をとるとすぐに上海南駅へ向かった。地下鉄が通じていて簡単に行ける。



左のクリーム色の建物が僕の泊ったホテルの入っている建物。



上海南駅のチケット売り場へ行ってみると、昔の中国の鉄道を知る者にとって想像できない光景が。長い行列がないではないか。9時少し前にチケット売り場に着いて、9時20分の南昌行き列車の硬座のチケットが確保できてしまった。料金は11元(日本円で約165円)。



出発を待つ列車。



嘉善まではわずか50分の乗車。すぐにバス駅に移動。壁に張っている時刻表に西塘行きの表示はなかったが、窓口に「西塘」と書いてあるので、そこで乗車券をl購入。ところが、乗車券に印字された発車時刻を見てびっくり。「16:15」とあるではないか。そんな馬鹿な。

バス乗り場へ移動すると、「シータン(西塘)」との呼びかけが。どうやら「西塘行きがそろそろ出るよ」ということらしい。チケットを見せて指示された乗り場へ行くと、西塘直達(直通)という表示のあるミニバスがあり、乗車するとほどなく出発した。あとからわかったのだが、このバス以外にも嘉善-西塘にはバスが頻繁に走っていた。(嘉善-西塘はわずか10キロ余り)



水郷の町の中へ。『歩き方』によると西塘の町の観光には入場券が必要とのこと。しかし、バス駅から旧市街の入り口まで行くと、チケット売り場やチェックポイントはない。改めて『歩き方』を見ると、観光バスなどの駐車場が旧市街のはずれにあり、そこでしか入場券は買えないらしい。旧市街は柵などで隔絶されているわけではないので、入場券なしでも問題なく入れる感じ。しかし、街歩きの最中にチケットチェックがあるかもしれないと思い(どうやらない模様)、入場券売り場まで行って購入(100元)。入場料には町のなかの見どころの入場料金が含まれており(当然入場時のチェックはある)、全部回ると100元以上するのでお得ということになる。




右手前のおじさんは横笛を吹いている。




舟がもっと見られるかと思ったが、シーズンオフのため観光船はほとんど通らず。地元の人もそんなに頻繁に通るわけではないので、やや寂しい水路だった。




右端に赤い提灯がぶら下がっているが、水郷に面した建物の多くに下げられており、夜になるとこれに明かりがともされ、町を彩るらしい。




お土産屋などが並ぶ通り。




西塘の見どころの一つである狭い路地。








古い家の台所(再現したもの)。




まだ、観光地、観光地していなかった。




水郷沿いには、ご覧のようなひさしを持つ建物がずっと続く。



一通りの観光を終え、14時55分のバス(15分遅れで出発)で上海へ戻ることにした(嘉善経由だった)。料金は32元。鉄道の安さ(11元)が際立つ。

嘉善への道すがら、大きな水路を渡った(行きも通ったが)。水路には荷物を満載した、数多くの平たい形の運搬船が航行していた。バスの窓ガラス越しに写真を撮っておけばよかった。次回の課題か?



夜、天気は雨に変わった。写真は再び南京東路。




夜部屋に戻るとチェックアウトの手順(鍵をどうするとか)を書いた紙と、クリマス・プレゼントが。




翌日は冷たい雨。街歩きはあきらめ、上海博物館へ。青銅器の展示が素晴らしい。



終わり。