花の持つ癒しの力を感じた2年前の春
北海道の桜は山桜が中心で、最近徐々に目立つようになってきたものの気候の関係からソメイヨシノはあまり見られない。
山桜は開花とほぼ同時に葉も開いてきて、ソメイヨシノほどの華やかさはない。
山桜には山桜の美しさがあるのだが、山桜を見慣れた北海道民にとってやはりソメイヨシノはある意味特別である。
2023年春、新型コロナの流行がだいぶ下火になっていたので、花が大好きな母親にソメイヨシノを見せるため一緒に東京へ行くことにした。ただ、人ごみは避けたいので、自分のランニングコースから近い(もう5年以上そのコースは走っていない)、地元の人しか通らないような桜並木へ行くことにした。
東京の家からその桜並木までは自分の足ならば何ということのない距離だが、脚力が衰えた母にとっては歩ける距離ではない。タクシーという手もあるが、呼んですぐ来てもらえるかどうか、気をもみたくもない。ということで車椅子をレンタルすることにした。羽田空港受け取り、返却というパターンがあるとベストなのだが、よい選択肢がなく、札幌で借受け、返却という形にした。
車椅子で動くには雨はまずいので週刊予報を見てから航空券を確保した。幸い、23年の春はまだ人の動きはそれほどではなく、出発1週間前でも空席があった。
東京へ行ったのは3月28日。この年の東京は桜の開花がものすごく早かったのだが、開花後の天気予報が今一つで確実に晴れそうな日は28日までなく満開をだいぶ過ぎてからだった。
28日、まず札幌の実家からタクシーで新千歳空港へむかい羽田行の便に搭乗。
確実に晴れそうということで選択した日だったが、ふたを開けてみると、この日の東京は朝から雨。昼過ぎに羽田に着いたが、飛行機の窓から見える誘導路脇のアスファルトには雨滴が見えた。この日の夜の便で札幌に戻ることにしていたので、このままだと、東京では羽田と自宅の往復だけで終わりそうだった。
羽田から東京の家までもタクシー。家におちついてから1時間半くらいたったころだろうか、急に晴れてきた。ありがたかった。そんなに時間はないので一生懸命車椅子を押して目指す桜並木へ向かった。
桜が見えてくると、母親の表情が、籠の鳥状態の日々とは違う生き生きとしたものに変わっていった。花の持つ癒しの力というものだろうか。それとも母の表情は変わってはいなかったけれど、花の持つ癒しの力で自分の気持ちがほぐされていき、そのように感じられたのか?
母は東京で桜を見たことなどすぐに忘れてしまうだろうから"証拠写真"も撮った。
花の盛りは少し過ぎていたが、雨上がりのため空気がとても澄んでいて、そして雨が上がったばかりということで散歩の人も少なく、少し肌寒くはあったが(調べてみるとこの日の東京の最高気温は13度弱)、とてもよい花見となった。
- Older: 2025年2月