色々とあったやることがだいぶ片付いたので、先日、母のスマホに残っていた色々なデータ、情報を改めて確認してみた。
すると、入院4日目に繰り返し繰り返し家に電話をかけようとしていたことがわかった。
色々とさわっているうちに機内モードに切り替わってしまい、発信できないでいたようだ(その前夜、たまたま看護師さんが発信できないでいる様子に気が付いてくれたのか、母が看護師さんに助けを求めたのか、病棟の電話から家に電話をかけてきた)。
結局、発信することはできずあきらめてしまったようで(もしくは充電が切れたのか)、その日を最後に発信記録は残っていない。
何度も何度も発信を試みて、うまくいかないで混乱していたであろう母の心持ちを思うと今更ながら心が苦しくなる。
母がスマホ(らくらくスマホというやつ)に機種を変えたのは、2019年の2月。それまで使っていた3Gのガラケーの充電池がだめになったので仕方がなく変えたのだが、その際、ガラケー型の4G携帯にしていればと思う。
機種変更を行ったその日は、たまたま携帯ショップに付き添えず、別の人間に付き添ってもらったのが失敗だった。
機種変更後、当初はまあ何とか操作できてはいたが、使えたのは電話とメールの受信くらいで、画面の思わぬところに触れてしまい画面が切り替わってしまうと、もう立て直しが出来ない状態だった。
ホームボタンを押して、そこからやり直せばよいと思うかもしれないが、それは無理な状態だった。
若いころからスマホというものがあり、その操作が体に染みついている人たちならば何の問題もないのだろうが。
スマホの操作に苦戦するのを見ていたので、ガラケー型の機種に変更してあげようと思ったが、先送りしているうちに、母は段々スマホを使わなくなり、母が使いたいと思ったときに携帯が使えない状態になってしまったことを後悔している。
ガラケーに慣れ親しんだ高齢者が宣伝や割引に流されて、スマホに機種を変更するのは考え物だと思った。
飛行機では次のようなことを経験した。
母と飛行機に乗った際、機内のトイレに入った母がなかなか出てこないということがあった。
自分はずっとドアの外に待機していて、やっとドアが開いたので、「洗浄のボタンがわからなかった?」と聞くと「うん」とうなづいた。
いちいち飛行機内のトイレの洗浄ボタンがどんなものなのか覚えていなかったのだが、その時、改めて見てみて、これでは認知力が低下した年寄りにはわかりにくいだろうなあ、と思った。
高齢者にやさしくないものの最たるものはマイナカード・マイナ保険証だろう。
母はマイナンバーカードすら作っていなかったので問題は何もなかったのだが、認知力の低下した人には暗証番号が必要なカードの利用は無理である。顔認証があるじゃないかといわれそうだが、精度の問題もあり認証できないことも多々あるらしい。
それで暗証番号の必要ないカードが発行されるようになるらしいが、カードは更新手続きというものが必要なのである。更新の手間というものをどう考えているのか? ただでさえ人手の足りない介護施設などにとっては余計な業務だろう。
現行の健康保険証であれば、保険料を納めていれば(母の場合、年金から天引きされていたので何もする必要がなかった)、登録した住所に保険証が送られてくるので家族としては楽だった。
そして、最後に入院した療養型病院では保険証を預けて、その病院にない科にかかることになった場合に備えることができた(結局はそういうことにすらならず亡くなってしまったが)。しかし、保険証が廃止された後、すでのマイナ保険証に切り替えている人は、それを預けるしかなくなる。そのカードが暗証番号が必要なタイプの場合、介護施設などでは預かるのは不可能としている場合が多いという。いったいどうするのだろうか?
皆年をとる。そして、いつまでも体と頭が元気とは限らない。
母の介護を通じて、自分のことも、体と頭の衰えというものを前提に色々と決めていかなければならないと痛感した。
ところで、政府は医療のデジタル化とか言っているが、今回の自民党をめぐる金の流れの問題で、マイナンバーカードやマイナ保険証も、金を出してくれる企業のための政策であることは明らかになったといっていいと思う(経済団体のトップが『マイナ保険証の納期(保険証の廃止期日)』を守ってもらいたいと発言したこともあるしー利害がからまないとこんな言い方しないでしょう)。医療の世話になる確率が高くなる高齢者のことなどほとんど考えていないのではないか。
政治資金問題で批判が高まるなか、評判の悪い健康保険証廃止を予定通り実施するということを政府は表明した。こんなときに何故なのか、という声が起きているが、国民の自民党批判が高まっている今だから、お金を出してくれている経済界に恩恵を与え、将来の選挙でも協力(投票行動)を得て、少しでも傷を少なくしようと考えているのだろう。そして、そこにはどうせ多くの国民は無関心で、どうせ投票にはいかないだろうから、利害をともにする企業とそこの従業員、それに連なる人々の票だけで何とか政権を維持できるという、国民をなめきった思考が見え隠れしてしまう。
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