今回のエントリーの見出しにある「平和ボケのタカ派」とは、DIAMOND onlineに載せられている軍事ジャーナリスト田岡俊次氏による記事「『平和ボケのタカ派』は日本を核戦争に向かわせる」で使われている表現です。
詳しくはその記事を読んでいただきたいですが、記事の要点と自分の所感を備忘のため書き留めておきたいと思います。
12月20日の読売新聞に驚くべき世論調査の結果が載った。「北朝鮮が核実験やミサイル発射などを続けた場合、米国が朝鮮に対し軍事力を行使すること」を支持する割合が日本では47%に達したというのだ(不支持は46%)。
「米国による攻撃が行われた場合、北朝鮮の滅亡は必至だから自暴自棄になって、一部の弾道ミサイルが破壊されても、残った核ミサイルを急遽発射する公算は極めて高い。「死なばもろとも」の心境でソウルや東京を狙うことも十分考えられる。」
*「支持」と答えた人はこういうことを想像できないのだろうか? もしかして米国の攻撃によって一瞬にして北朝鮮の軍事力が無力されるとでも思っているのか? それとも相手(米国)の軍事力に屈服してあっさり白旗を上げるとでも? 後者の可能性はあるかもしれないと思うが、その保障はどこにもない。
戦争となれば日本が甚大な被害を被ることは想像すれば簡単にわかることだと思うのですが、どうも、47%の人はそれが想像できないみたいです。それに対し田岡氏は具体的な危険性を詳しい数字もあげつつ説明していますが、細かい数字は割愛して、以下に要点を記します。
<田岡氏の説明の要点>
1.米国の北に対する攻撃によって一瞬にしてその軍事力を無力化することは不可能。その理由は北のミサイルの位置のすべてを精密に知るのは困難だから。
・中朝国境の山岳地帯の谷に無数のトンネルを掘り、そこに移動式発射機に載せて隠している→偵察衛星でこれらを把握することは不可能。
・無人偵察機で移動式発射機が出てくるところを常時監視しようとしても、北の旧式対空ミサイルでも無人偵察機の撃墜は可能。
2.日本にも適地攻撃論(ミサイルが発射される寸前にこれを攻撃)を唱える人がいるが、どうやってそのミサイルの場所を知るのかという部分が欠落している。
3.もし日本にミサイルが飛んで来たら迎撃システムがあるではないかという人もいるが、迎撃システムは気休めにしかすぎない。その理由は、米国の攻撃を受けても残存する北の発射可能ミサイルの数が迎撃可能数を大きく上回るから。
*以上が大雑把な内容です。ちょっと考えれば想像できる内容ですが、それができない、田岡氏のいう「平和ボケのタカ派」が増えているらしいことは衝撃的です(戦争を映画とかテレビゲームとかのように思っているのだろうか? 上には書きませんでしたが田岡氏は戦争における民間人の被害についても詳細に指摘しています)。田岡氏の記事にはありませんでしたが、北のミサイルが原発に飛んできて、原子炉が破壊されなくても冷却装置の電気系統が破壊されれば、制御不能となり爆発→放射性物質の拡散→広域が住めない地域に、ということも考えられるわけで、実際の戦闘になる可能性はすべてシャットアウトしなければならないと考えます。
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