一写入魂のころ-パキスタンのクエッタ(1997)
最近はデジカメを持って旅をしているので、とにかく撮れるものは撮ってしまう。
違う角度から、違う構図で、はたまたほとんど同じ構図で、シャッタースピードを変えて、絞りを変えて、とにかく色々と撮る。
しかし、フィルムカメラを使っていた時代は、そうはいかなかった。
現像・プリント代の問題が大きかった。
それで2週間くらいの旅で、36枚撮りのフィルム8本という目安を決めていた。
36枚撮り8本という数字には何の根拠もなかった。ただなんとなくだった。
撮影可能枚数に限度を設けているので、「一写入魂」でいかなければならず、何でもかんでもバシャバシャ撮るわけにはいかなかった。そのため、絵を作るよりも、まず、記憶の補助のための写真ということになりがちだった。
記憶の補助にするにしても、どこでその1枚を撮るか、けっこう大きな問題だった。
上の写真はアフガニスタンとの国境に近い、パキスタンはクエッタのメインストリート。
何の変哲もない写真だが、ゴテゴテの装飾を施したバスが珍しく、これを画面にいれつつ、クエッタの街を撮った。今では貴重な記憶の補助になっている。
このメインストリートを抜けると中華料理屋があったが、記憶の彼方で、どんなたたずまいの店だったのか思い出せない。
今だったら、間違いなく1カット撮っていただろう。
イランのイスファハンからバス車中3連泊でようやく到着したクエッタ。そこでの久々のまともな食事ということで、とても思い出深いレストランである。
洗面器のような巨大な器に入ったスープが妙に記憶に残っている。
少しだけリゾート
今回のインドネシア旅行では、最後に少しだけバリ島のウブドという所に寄ってきた。
バリ島。ばりばりの(笑)リゾート地である。
実は次の旅先をインドネシアと決めてからしばらくは、自分にはもっとも似つかわしくない旅先ような気がして、ガイドブックのバリ島のページはめくらずにいた。
しかし、綺麗な棚田の存在を知り、ちょっと行ってみっかということになった。
そして、せっかくだし、周りが田んぼで囲まれているところに泊ろうと思った。
それで見つけたのがトランブラン・コテージというところ。(ご主人に教えてもらったのだが、「トランブラン」とは「満月」という意味)
インドネシア人のご主人と日本人の奥さんが経営している(奥さんは普段はコテージには出ていらっしゃらないらしい)、わずか4棟だけの小規模な宿。
ご主人やコテージの従業員の方たちのゲストに対する細やかな心配り、真面目な働きぶり、広くてきれいな部屋、部屋や食堂から見える田園風景。
バリ島に寄ったこと、というかこのコテージを選択したことは大正解だった。