ワンからディヤルバクルへ


<4日目続き>
この日も夕食後、ニュース番組の天気予報に注目した。天気予報を見てから、ワンの後の行き先を決めようというわけである。

ワンからドウバヤズィットへ出て、さらにカルスへ行くか、ディヤルバクルに出て、ハサンケイフというところに行くか、2つの選択肢を持って旅に出たのだが、トルコ航空の機内誌に載っていたハサンケイフの写真を見て、気持ちはカルスの方に傾いていた。トルコ航空の機内誌でとりあげるほどだからハサンケイフも素敵な場所なのだろうが、その写真から直感的に「たいしたことないかも」と感じたのだ。長年旅行をしているとこの直感はけっこうあたる。一方、カルスの近くにあるアニ遺跡は、まだ写真などでは見たことがない。草原の中で風に吹かれて、その遺跡を実際に目にしてみたい。そういう思いを強くして、ワンに入った。しかし、天気予報が悪い。カルスはしばらく雨の模様だ。「草原の中、風に吹かれて」はありだが、「風雨に吹かれて、雨でベタッとなった草原」ではだいなしだ。しかたなく、乾燥帯にあって、雨の心配がほとんどない、ディヤルバクルを中心とする東南部へ向かうことにした。しかし、連日の天気予報では最高気温40度と表示されている。ちょっと勘弁という気温だ。


<5日目>
朝、ホテル近くのバス会社に行って、9時発のディヤルバクルへのチケットを確保(2000万トルコリラ)。『歩き方』によると所要時間は6時間ほどということなので、午後3時過ぎには着けそうだ。

バス会社の出しているセルビス(送迎車)でオトガル(バスターミナル)まで行き、バスに乗車。バスの最終目的地はメルスィン。ワンを出た後はしばらくワン湖の横を走る。昨日、見た不思議な色がまた見られた。昨日は構図的にのっぺらした湖の景色にしかならないので敢えて写真は撮らなかったが、やはり、撮っておきたい。バスの車内から2枚ほど撮影した。



ワン湖。かなり肉眼で見た色に近い色で写ってます。



午後4時半頃、ディヤルバクル到着。ワンからの所要時間は7時間半であった。

近年のトルコの各都市と同様、ディヤルバクルのオトガルも街の中心からは離れたところにある。ドルムシュ(乗り合い自動車)に乗り換え、町の中心に出て、エアコンのあるホテルにチェックイン。

すぐに街歩きに出たが、空気が沸騰している。この中にいるのは連続1時間が限度か?

旧市街のメインストリートのガーズィ通りは多くの人で賑わっていた。10メートルおきくらいといってよいくらいたくさんの水売り(背中に水タンクをしょって、右手にはコップ、左手には客寄せの鈴といういでたち)がいた。観光客目当てではなく、街の中の商売として成り立っているようだ。水売りに近づいてアップで写真を撮るのはちょっと失礼かと思い、街を行きかう人々を写し、その点景として水売りを写しこもうなどと思いながら歩いて行くと、どうもカメラを取り出してはいけないようなムード。なんと、装甲車がある程度の距離ごとに停車して、その上の兵士がいつでも機関銃(だと思う)を撃てるように構えているではないか。おそらくこの人ごみでテロの発生の可能性があるので、トルコ軍が警戒態勢をしいているのだろう。以前来たときもディヤルバクルはクルドの過激派の活動(トルコ政府のクルド人に対する強硬姿勢が背景にある)の活発な街だったが、イラク戦争の影響もあるのだろうか、また、困った状況になっているようだった。




旧市街のメインストリートをずっといくと、道が狭くなり、野菜や果物売りが並んでいた(このあたりにはトルコ軍はいなかった)。




脇道にも野菜売りや果物売りが。



かつてはキリスト教会だったというモスク。奇麗な建物だ。『歩き方』にはシリアのダマスカスにあるウマイヤド・モスクに似た様式とあるが、そういえばよく似ている。