<目次>
 1.ワン近郊をめぐる(このページ)
 2.ワンからディヤルバクルヘ
 3.トルコの若い女先生グループに引っぱり回される
 4.ハランにビーハイブハウスを見に行く

  ワン近郊をめぐる

2003年夏の旅行は12回目のトルコを選択。

選択の理由は、
(1)96年、イラン-トルコ国境越えの後に見たワン湖(この時は横を通過しただけ)のあの湖水の色を確認したいと思った。(2)02年末から03年にかけての『世界の車窓から』で放送されたトルコ国鉄編を見て、トルコ鉄道の旅をゆっくりしてみたいと思った。(3)新版の『地球の歩き方』の東トルコの部分が詳しくなり、行っていないところの多い東トルコをゆっくり巡ってみたいと思った。(4)勝手知ったるトルコで緊張感なくだらだらすごしたかった、等々である。

航空券はJALのマイレージの特典航空券(当時はトルコ航空とJALの共同運航便があった)。しかし、特典航空券を予約した段階では、行きのちょうどよい日程の共同運航便がなく(イラク戦争の影響で間引き運航されていたと思う)、仕方なく行きはローマに飛び、ローマからトルコ航空でイスタンブールへ飛ぶことにした(ノーマル運賃=8万円くらいと高かったが、特典航空券を利用せずに、この時期の格安航空券で日本とトルコを往復するよりずっと安い)。

ローマ-イスタンブール間をトルコ航空で飛ぶことにしたため、ヴィズィット・トルコというトルコ航空の国内線割安チケット購入の資格を得ることが出来、国内線一区間70ドル均一(通常は100ドルくらい)で買うことができた。

<1日目>
日本を出発。この日はローマ泊り。

<2日目>
イスタンブール、さらにアンカラへと移動し、ここで一泊。

<3日目>
午前中、アンカラからワンへ飛んだ。

ところでトルコに着いてびっくりしたことが一つ、昨夏は1ドル160万トルコリラだったのだが、この夏は140万トルコリラ弱。トルコリラの下落に歯止めがかかっているではないか。こんなことは、トルコに通いはじめて15年目にして初めてのことだ。

空港から市内へ出て、ホテルを決めてチェックインしたが、その際、さっそくレセプションでツアーの売り込みが始まった。

ワンは見どころか周辺に点在しているので、車でも雇わないと効率的な観光のできないところである、ことくらいは日本で予習していった。また、ホシャップ城・チャウシュテぺ城・ワン城跡などをめぐって、タクシー1台50ドルくらいというのも予習していった。レセプション氏は、これにアクダマルも加えて100ドルでどうだという。ちょっと高い感じだ。それで、検討してあとで返事をするというと、アッというまに75ドルまで下がった。

アクダマルはホシャップ城とは方角が違い、ワンからの距離もかなりある。妥当な金額であろうと判断し、お願いすることにした。外でタクシーの運ちゃんと交渉してからでも、と思ったが、気分はそんなに節約モードでもない。 

ところで、東部トルコは、観光ずれが進まず、人々も純朴でよいという評判だが、確かにこの日入った2件のレストランでは、お金を払う際に胸に手を当てるポースでお礼された。翌日行った、外国人観光客がよく行くような店は普通の応対だったが、ホテルのレセプション氏がすぐにツアー料金のディスカウントに応じたように、観光客が油断していると、とことんぼったたくられるというところまではいっていないという印象だ。

<4日目>
朝8時、ワン周辺観光に出発。午前中はホシャップ城、チャウシュテペ城と巡った。前者はオスマン朝時代のもので城の遺構はかなり残っている、しかし、後者は紀元前8世紀にウラルトゥ王国の王によって建てられた古いもので、ほとんど廃墟。しかし、日差しがきつく、直射日光を浴びるとけっこうつらい。日陰は涼しいのだが。。。



17世紀半ば、クルド人の領主によって建設された城。



ホシャップ城の城門。




ホシャップ城。




ホシャップ城。周囲には荒涼とした景色が広がる。




チャウシュテペ城



正午少し前、ワン湖のアクダマル島への渡し船乗り場の到着。客がいないと日本円で3000円くらい出さないと船を出してもらえないらしいが、チャイを飲みながら時間をつぶすこと30分強、10数人の客が集まった(うち外国人観光客は僕を含めて6人。あとはトルコの人たち)。料金の250万トルコリラを払い船に乗り込んだ。



ワン湖に浮かぶアクダマル島。この島唯一の見所アルメニア教会がポツンと建っている。




アクダマル島のアルメニア教会。10世期前半に建てられたという。外壁面の聖書に題材を求めたレリーフが興味深い。




ぐるっと一回りしてレリーフを見る。




とても素朴な感じのレリーフが並ぶ。




教会内の壁にも絵が描かれている。




壁画の画像をちょっと拡大してみました。







アダムとイブ




別角度から教会を見てみた。




島の少し高いところからの眺め。



島で1時間ほど過ごした後、2時頃、島の湖水浴場で泳いでいた運転手氏に声をかけアクダマル島をあとにした。

アクダマルへの渡し船乗り場の前にあるレストランで遅い昼食をとったあと、予定では本日最後の観光箇所であるワン城へ向かった。

途中、96年に目にしたワン湖の不思議な色を見ることができた。あまりに不思議な色なので、あの時の記憶が年月の中で変化してしまったのかもと思っていたのだが、記憶違いではなかった。青味がかった乳白色といったらよいのだろうか。

15時半ころワン城の登り口に到着。「城は外から離れて見るもの」と思っているし、日も高くかなり日差しがきついので、そんなに積極的に登りたいとは思わないが、「せっかくここまで来たのだから」と思い急な坂にとりついた。

ワン城はウラルトゥ王国の時代の紀元前1世紀前半に築かれた城。ガイドブックには城壁から眺める湖に沈む夕陽が素晴らしいとあるが、実際に城に登ってみると、そこから見えるワン湖は特に特色のない湖になってしまう。空気の条件がよく、空が赤く染まればそれなりの眺めになるのだろうが、たいしたものは期待できそうにない。本当に眺めがよければ、日が沈む7時過ぎにでもタクシーをとばして来ようかと思ったがやめにした。

城を出たあと、運転手氏は城全体を眺めることの出来る場所に連れて行ってくれた。ホシャップ城でも、ちょっと離れた箇所から写真を撮りたいとリクエストしたので、こちらがお願いする前に気を利かせてくれたのかもしれない。



ワン城。




ワン城からの眺め。




少し離れたところからワン城を望む(岩山に城が築かれている)。


岩山の麓から城を眺めた後、運転手氏がコーラをおごってくれた。昼食をご馳走したので、そのお返しか? しかし、運転手氏が飲んだのはビール。酒気帯び運転手の車に乗って事故にあったのでは洒落にならない。その後は、ちょっと緊張して車に乗った。

さて、ワン城で昨日レセプション氏が示した観光はおしまい。ここで運転手氏が「キャット・ハウスに行くか?」と聞いてきた。ワン大学(『歩き方』ではユズンジュユル大学とある)でワン猫を飼育しておりけっこう有名な観光地らしい。猫が好きというわけではないが、右と左の目の色が違うという不思議な猫を見てみたかったので、運転手氏がホテルへ直行してしまいそうになったら、キャット・ハウスへ言って欲しいとお願いするつもりだったが、ここでも先に気を回してくれた。

ワン大学はけっこう遠かった。こんな辺鄙な場所にある大学に学生はどうやって通うのだろうか、という感じだが、おそらくドルムシュが沢山走っているのだろう。

キャット・ハウスは普通の家といった建物で、その片側に大きな檻があり、たくさんの白い猫がいた。ワン猫である。目の色はどうかと見てみると、両目の色が同じものと違うものがいた。目の色がよくわかるように写真をとろうとしたが、そこは猫だ。なかなかこちらの思うとおりには動いてくれない。ところが、そろそろ帰ろうかということで檻を離れると、こちらを引き止めるかのように「ミャーオ、ミャーヲ」と鳴きながら、檻の金網に体をすりつけてくる。ややなごりおしかったが、これにて本日の観光は終了である。



思い返してみると、これが旅先で猫を意識して見たり、写真をとったりするようになるきっかけだったと思う。